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スペインガリシア地方 4軒しか家がない村の家族

こんにちは、モデル・定住旅行家のERIKOです。スペインのガリシア地方は海岸地域と山岳地帯の主に2つの地域に分かれています。
私が定住旅行させてもらったのは、山岳地帯のルゴ県セルバンテスにあるドイラス村という場所です。

この村はなんと家が4軒しかない小さな小さな村。それではドイラスの家族と生活の様子をご紹介しましょう!

お父さんのエドゥアルドさん。1973年18歳の時に5年間フランスへ出稼ぎに出ていました。徴兵をきかっけにガリシアへ戻り、お祖父さんが代々営んでいたバルを継いでいます。

お母さんのオリバ・ビレラさん。エドゥアルドさんと一緒にバルを経営されています。週に1日も休みがなくお店で働き、なおかつ主婦の仕事もこなす働き者。

息子のミゲルさん。現在はルゴ市に住んでおり、週末や休みの日には必ず実家に戻ってきます。Protección Civil(ボランティアの民間防衛機関)に積極的に参加したり、Territorio Verdeというガリシアの緑再生プロジェクトの役員も務めているしっかり者です。

ドイラス村での生活はほぼ自給自足。各家で豚や牛、鶏を飼育し、屠殺し、野菜や果物なども栽培して食料にするのが昔から受け継がれているガリシアの伝統的な暮らしです。

こちらはガリシア山岳地地帯の典型的な景色です。見ていただけるとお分かりのように、数軒しか家のない小さな村が、離れた場所に点在しています。

これを見た時に、「どうしてみんなで集まって住まないのだろう?」と思っていました。その理由は彼らの暮らしを見ていて気がついたのですが、この辺りには平坦な土地が少なく、アップダウンが激しい場所ばかりです。ですので、それぞれが所有している農地に近い場所に家を構え、作業場へのアクセスを楽にしているのです。また、この辺りの土壌はどこでも農作物が育つわけではなく、いい土壌を探さなくてはなりません。農地に適した場所が見付かれば、そこを拠点して住まいを構えるので、人が住んでいないような場所になる可能性もあるわけです。


こちらは、Encaje de Camarinas エンカヘ・デ・カマリナスと呼ばれるガリシアの伝統的な手芸。カマリナスという海沿いの街発祥の手芸方法で、カラカラと木の音を立てながら編んでいく独特な手法です。見ていても飽きませんね。

バルのお客さんたち

滞在中、手伝いがてら私もバルで働かせてもらいました。人と話をするのが好きなので、カマレラ(店員)は我ながらなかなか向いているなぁと思いました。バルには1日に色んな人たちがやってきます。

常連さんの一人で、ドイラス村にある、Castillo de Doiras ドイラス城で働くガイドのトニーさん。内気なガリシア人とな思えないほど破天荒でなんでもズバズバ物申す性格。彼女がバルにくると一気に明るくなります。私もお城を案内してもらいました。

Castillo de Doiras ドイラス城

昔、古代ケルト人の住居”カストロ”だった場所に建てられた城で、現在見れるのは、15世紀の状態のものです。ここは古代ローマ時代に主要都市を結ぶために作られた、la via Romana (ラ・ビア・ロマナ)ローマ街道が通っていた道で、重要な交易の場でもありました。また、サンティアゴ・デ・コンポステラの巡礼路でもあります。

このお城には、”鹿の女”という言い伝えが残っています。

”昔、アルデラという若い女性がこの城に住んでいました。家族が結婚の準備をしている最中、森の中でアルデラは行方不明になり、熊か狼に食べられてしまいます。ある時、彼女の弟が鹿猟に出かけました。彼は大きな鹿を仕留めると、その大きさから足だけを切って持ち帰ります。家に着いて袋から出し、家族へ見せると、その中には若い家族の指輪が付いた若い女性の腕が入っていました。慌てて鹿を獲った場所へ戻ると、そこには腕のない亡くなったアルデラがいました。”

こちらは猟師さんたち。猟に出かける前に、食事へやってきます。食べ物は家から持参し、バルでは飲み物だけを注文。

彼らが握っているナイフは、”Nabaja ナバハ”と呼ばれ、ガリシア人のほとんどが持っている自分専用のサバイバルナイフです。これさえあれば、どこでもパンやチーズ、果物が食べられ、なおかつ作業をする時にとても便利。食事の時もテーブルに置いてあるナイフを使わずに、自分のナバハを使う人もいるほどです。

彼らの猟の相棒は猟犬たち。生まれて初めて間近で猟犬を見ましたが、かなり凶暴そうです。イノシシ狩りに使われる猟犬は、主にスピノーネ・イタリアーノというイタリア原産のポインター犬種が多いそうです。

はっきりものを言わないガリシア人

ガリシアでの生活を通して感じたのは、非常にハイコンテクスト社会であるということです。”ハイコンテスクトな文化”(高文脈文化)とは、コンテクストの共有性が高く、物をはっきり言わずとも分かり合える環境のことです。(日本もそうですね)

スペインの他の地域では、「ガリシア人はYes Noをはっきりを言わない」、「何を考えているか伝わらない」というイメージが持たれているのだそうです。

村社会は非常に狭く、人も少ないので、この環境でハイコンテクスト文化であると、非常に人間関係は複雑です。

私はいつも滞在させてもらう家族に迷惑がかからないように周囲との人間関係を構築していくのが通常です。ガリシアの様な農耕中心の閉鎖的な社会だと、家族以外と活動を共にする時に、その相手が家族とどういった関係なのかをできるだけ把握し、嫉妬や妬みなどが生まれないように気を使わなければなりません。

ガリシア人がよくやる儀式に近いものが、”支払いの激戦”です。バルやレストランへ行って、お会計のタイミングとなると数人が同時に立ち上がり、カマレロ(店員)にお金を押し付けます。「俺のを取ってくれ!」とそれぞれが粘るのですが、だいたい一番最初にお金を出した人のお金を取るのが礼儀のようです。この譲り合いもガリシア人ならではで、閉鎖的な人間関係を円滑にするための行動の一つだと考えられると思います。