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特例子会社 愛ファクトリーさんを訪問しました

  • 01.30.2019
  • 日本 Japan

こんにちは!モデル・定住旅行家のERIKOです。


今年から、株式会社インフォメーション・ディベロプメント(以下ID)さんのCSR活動を取材・発信をさせて頂くことなりました。

株式会社インフォメーション・ディベロップメントが行うCSR活動

IDさんは今年で50周年を迎えるグローバルIT会社で、東証一部上場企業でもあります。海外にも子会社を設け、IT環境の構築や通信のインフラ選定などを行っています。事業以外にも、CSR活動などを通して積極的に貢献を行っており、環境問題改善への取り組み、教育や文化・芸術活動の支援、地域ボランティア活動などを行っているのですが、その一つに、IDさんが大切にしているダイバーシティ推進の考えがあります。
今回、私の地元でもある鳥取県にある、鳥取市青谷に拠点を構える「愛ファクトリー」さんを訪ねました。ここでは、障がい者雇用の推進を目的に、天候に左右されない人口光LEDを利用した、全天候型植物工場にて無農薬による葉物栽培を行っています。
2014年に設立して今年(2019年)で5年目を迎える愛ファクトリー。2016年5月に「特例子会社」(「障害者雇用の促進等に関する法律」に基づき、障がいのある方の雇用促進と安定を図るために、一定の条件のもと、認められた会社)の認定も取得しています。

鳥取県青谷にある植物工場

私自身、鳥取県出身でありながら、愛ファクトリーさんが拠点を置く、青谷(あおや)というエリアに行くのは初めて。(鳥取県は広いのです)長閑な田園風景とはまさにこのことですね。この場所は以前、小学校でした。

昔使われていた小学校の面影を残しながら、中は綺麗に改装されています。

教室のいくつかは、全天候型植物工場になっており、無農薬による様々な葉物栽培が行われています。

こちらは水泡が葉についている塩生植物、アイスプラント。結婚式場などのお祝いの料理のデコレーションに人気なのだそう。南アフリカ原産のこの植物は、塩分を好んで吸い取る性質があり、糖尿病にも効果があると言われています。ここで栽培されているアイスプラントは、青谷の海水で栽培しており、「青谷クリスタル」という名前でレストラン等にも納品されています。瑞々しい美味しさが口の中に広がります。
また、わさびの味がするハーブや「グリーンマスタード」と呼ばれるマスタード味のハーブもありました。緑の香りピリ辛感がサラダなどのアクセントになりそう!辛いのですが、とっても美味しくて気に入りました。その他にも、これまで見たことのないたくさんの種類のハーブが元気に育っていました。

木村社長の思うこと

愛ファクトリー代表取締役 木村由美子社長にお話を伺いました。

ERIKO::木村社長は以前、東京の本社で勤務されていましたが、鳥取の青谷へ来て働く環境の変化や生活はどうですか?

木村社長:鳥取へ来て5年目になりますが、もうこちらの生活にも少しずつ慣れてきました。はじめの頃は、地域の人たちの輪に溶け込むのに少し時間がかかったりもしましたが、今では様々な地域のイベントに参加させてもらったり、貴重な情報や知識を教えて頂くことも多く、大変助かっています。時間はゆったりと流れていますが、やりたい事はたくさんあるので、田舎にいてもとても忙しく充実した日々を過ごしています。休みの日には、鳥取の観光地へも足を伸ばして、ここでしか味わえない贅沢な時間も過ごしています。

 ERIKO:障がい者雇用の支援は、実際にやってみないと分からない大変な部分というのがあると思いますが、それはどういった時に感じますか?

木村社長:そうですね、障がい者の方々は、それぞれが違った特性の障がいを抱えています。ですので、個々に異なった指示内容や指示方法が必要です。そう言った点で、指示を出す側の私たちの工夫や努力は必須です。
ただ、彼らは非常に素直で、真面目です。ある日、大雪が降った日があり、交通手段が止まってしまったことがあったのです。「今日はみんなさすがに来れないだろう」と思っていたら、そんな日でも誰一人休まず出勤して来てくれました。
また、中にはここで働いた経験が生かされ、一般企業にステップアップする従業員もおり、自分の事のように幸せな気持ちになりました。もちろん日々大変なことはありますが、それ以上の学びや感動ももらっているとつくづく感じます。

                           愛ファクトリーで働く女性従業員の皆様

ERIKO:事業を実際に行う中で、変化していった価値観などはありますか?

木村社長:我々の第一の事業目的は障がい者雇用であることに変わりはありません。ただ、この仕事を続けて行く間に、我々が障がいに対しての意識を高め、理解を促進するような意識の底上げの活動の重要性も感じ始めました。例えば、近年話題に上がることが増えた、発達障がいなどは、いじめや虐待なども背景要因のひとつとも言われています。そういった我々の身近で起こっていることを知ることは、障がいを理解する上で重要だと感じるようになりました。今後は、障がい者雇用の拡大はもちろん、特例会社としての次の広がりも視野に入れていきたいと思っています。

愛ファクトリーで働く人びと


愛ファクトリーに勤めて4年になる、福本樹督(しげまさ)さんと舩越みどりさんにお話を伺ってみました。

ERIKO:普段はどのような業務を行なっていますか?

福本さん:僕は栽培したハーブを管理しながら、ハーブの収穫を担当しています。

舩越さん:私は土耕栽培の収穫を主な業務としています。

ERIKO:仕事でやりがいを感じる時はどんな時ですか?

福本さん:そうですね、やはり収穫をしている時がとても楽しいです。育つ様子を見ているので、特にそう感じます。あと、家族も仕事を応援してくれているのが嬉しいです。

舩越さん:私は収穫したものを計りわけするのがとても楽しいですね。

ERIKO:今後の業務でチャレンジしたいことは何でしょうか?

福本さん:この4年間、1日も仕事を休んだことがないので、これからも休まずに働きたいです。

舩越さん:今後の目標は、今の業務からステップアップした、栽培の種付けができるようになりたいです。また、私も無欠勤で頑張りたいと思います。

大切なことを大切に思う気持ち

愛ファクトリーさんを見学させて頂いた中で、個人的に印象に残った場所がありました。

校舎の3階にある教室の一つです。この教室にはこの学校の歴史が記載されているパネルなどが展示してあり、黒板は最後の授業で使用したものがそのまま残されていました。

木村社長が見せてくだった写真の中に、この教室で勉強していた生徒さんと先生の写真がありました。

「ある日、この学校の卒業生が、担任の先生が病気になったのを励ます会を行うのに、この教室を貸して欲しいとの依頼があったのです。その時は喜んで使って頂きました」

閉校になった後でも、こうして昔の生徒さんたちが帰る教室を残しておこうというアイデアが浮かぶこの会社が、何を大切にしようとしているのかが見れた気がしました。

教室の隅にあった、古いピアノ。これも捨てられそうになっていたものを、できる限りの修理がなされ、ここに居場所が作られていました。ピアノをしばらく眺めていると、昔ここで学んでいた生徒さんたちの歌声が、どこからともなく聞こえて来たような気がしました。

障がい者雇用の現場を訪問したのは初めてでした。普段接することの少ない障がい者の方たちと交流し、知らなかった障がい者雇用の実態に触れさせて頂き、それに関わっている一部の人間だけでなく、社会全体が障がい者への理解を深めたら、ダイバーシティの考えも広がっていくのではないかと思いました。それは、これから日本に増える外国人移住者との共存や、世代を超えた人間関係構築にもつながる要素だと思います。

愛ファクトリー株式会社
〒689-0519
鳥取県鳥取市青谷町奥崎388
TEL:0857-85-6855
https://www.idnet.co.jp/corporate/csr.html

取材協力:愛ファクトリー株式会社
株式会社インフォメーションディベロプメント