イタリア定住旅行の第二の滞在地は、ウンブリア州ペルージャ県にある小さな自治体、コルチアーノです。
ここへ来ることになったきっかけは、日本在住のイタリア人の友達、エリカさんが「この村のコミュニティはとても面白いよ!」オススメしてくれたのがきっかけでした。ここへたどり着くまでに滞在先がなかなか決まらなかったり、日程が延期になったりとイタリアならではのハプニングがたくさんありましたが、無事定住旅行を決行することができました。

私が滞在した8月は、コルチアーノの人びとにとって、とても大切な行事がある時期です。その名も”Corciano Festival”コルチアーノフェスティバル この行事が始まったのは、53年前の1965年。4人の男性の発案で、この街の歴史と景観を生かして中世の物語を再現しようと始まったのが、このフェスティバルの始まりです。

2週間毎日行われる催し物

   Maurizio Schmidt率いるミラノの劇団による、シェイクスピア「Much adore about nothing」

フェスティバルの間は、絵画、彫刻、音楽、劇など芸術をテーマにしたイベントが毎日行われます。博物館での絵画特別展示、コルチアーノの村の景観をそのまま劇場にして行われるテアトロ、有名シェフを招いての夕食会、コンサートなど、毎日飽きることのない祭りが続きます。

自分の特技を生かして助け合う

                  地元の食材を使った食堂”Taverna”タベルナ

このフェスティバルの運営は全て村の人たちのボランティアで行われます。ここまでは様々な自治体で行われていることと同様ですが、コルチアーノの特徴は、小学生から老人まで、それぞれ自分と得意分野でこのフェスティバルを支え合う点です。
例えば料理が得意な人はキッチンへ、接客が得意な人は食堂のアテンド、歌が得意な人はコンサートや劇で、それぞれが持つ特徴を村へ還元するのです。自分がやりたくないことは無理にやらないイタリア人ならでは発想とも言えるでしょう。

フェスティバルを通して村びとが形成するアイデンティティ

このフェスティバルは、中世に行われていた行事や、物語を再現することによって、参加する人たち自身が、コルチアーノの街の歴史やその価値を体感しながら理解していきます。また、全員が知恵を出し合い参加することで、連帯感が高まり、コルチアーノへの帰属心を育み、アイデンティティ形成を助けています。

                                        キアラさん(左)

運営リーダーの一人であるキアラさんは、現在ミラノ在住。しかし、毎年この時期になると地元であるコルチアーノへ戻ってきて、フェスティバルの運営に関わっています。

村へUターンする若者たち

キアラさんの場合は一時的な里帰りですが、村では多くの若者たちの姿を見かけました。
近年コルチアーノをはじめとするイタリアの小さな村々では、Uターンする若者が増加している傾向にあります。以前は、変化のない古い街より、様々なチャンスがある都会へ移り住むのに憧れて持っていた若者たちが、村の歴史的な価値を再評価するようになり、村へ戻って住みつくようになっているのです。このフェスティバルは、そういった若者たちへ村の価値やアイデンティティを生み出す大きなきっけかになっているようでした。

マリアの行列に参加

コルチアーノフェスティバルのメインイベントとも言える、聖母マリアに捧げる行進に参加させてもらいました。村の人たちが貴族や農民、犯罪者、庶民などの衣装に身を包み、城壁内を行進するというものです。
私は庶民の衣装で参加。貴族の衣装も素敵で憧れていましたが、いざ歩き出すと日差しの洗礼を受け、暑さで汗がダラダラ。
貴族の衣装に身を包んだ人はさぞや大変だったと思います。

このコルチアーノフェスティバルは、毎年8月の最初の土曜日から、2週間行われています。お店などのほとんどの機能が活動停止状態の夏のイタリアを旅行するのは、ナンセンスと言われていますが、コルチアーノに限らずイタリア各地でも、この時期にしか見ることのできない行事もあるので、それ目当てに旅行プランを立てるのも良いかと思います。