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豚肉・パン・ヴィーガン デンマークの食生活

こんにちは、定住旅行家のERIKOです。デンマークの首都コペンハーゲンに定住旅行しています。今回は滞在しているローンボルグ家の食卓から、デンマークの食についてお話したいと思います。デンマークの一般的な食事は1日3回、夕食が最もボリュームのあるメインの食事です。

食料自給率300%のデンマークの朝食


週末のゆったりとした朝食にはゆで卵なども
朝食に食べられるのはパン。食料自給率300%、国土の約60%が農地という農業大国のデンマークには、小麦粉やライ麦で作られるさまざまな種類のパンがあります。チーズやきゅうり、トマト、ハム、サラミ、ポークパテなどをのせたり、挟んだりして食べるのが主流です。また日本でも有名なデニッシュ(デンマークではヴィーナブレス)と呼ばれる甘いパンもよく食べられます。

デンマークには「スモーブロー」と呼ばれる料理があります。いわゆるオープンサンドで、たくさんの種類があるのですが、その中でも黒くずっしりとしたルブロrugbrødと呼ばれるライ麦パンにポークパテを塗り、その上にサラミとローストオニオンポークのカリカリのチップスをトッピングしてあるものが典型的なものの一つだそうです。
サンドというと手で食べるのを想像しますが、具材がたくさんのっているスモーブローは、ナイフとフォークを使って食べるのが特徴です。重厚感のあるパンと具材のボリューム感で少数でもお腹が満たされました。

平日は夫婦の出勤時間がそれぞれ異なるので、各自で簡単に朝食を済ませますが、週末はゆっくりと時間をかけて普段より多めの朝食をとっていました。

食材の調達

                手持ちのバーコードリーダーで商品をスキャンします
食材は主にスーパーで調達します。買い物はほとんど夫のクリスティアンさんが担当しています。休みの日など時間がある時は、彼が大好きだという業務用スーパーで食材を買い込みます。これぞ業務用と言った量と品揃えなのですが、日本の業務用とは比べ物にならないほど大きく、ショッピングカートにはコンテナーが使われているほどです。一般のスーパーと比べると値段も安めですが、デンマークは物価が日本の約2倍はするので、私にとっては何を買っても安いとは言えません。スーパーやお店では、ショッピングバッグは有料なのでほとんどの人がマイバッグを持参しています。ちなみにギフト用ラッピングはどこでも無料で行ってくれます。

調理器具を見せない清楚なキッチン


ローンボルグ家のキッチン・ダイニングです。調理器具、カトラリー、グラス類、調味料のほとんどを収納するタイプのシンプルでスッキリとしたデザインです。引き出しはセンサー式で、軽く手を添えると自動で開閉するようになっています。食洗機、トースターなども全自動対応になっています。
料理も手間を省くため、混ぜたり捏ねたりする作業も主に機械が使われていました。


このキッチンの中でも気に入ったのは、こちらのマグネットタイプの包丁ホルダーです。使いやすい上、見た目も美しい!フライパンなどはデンマーク製のスキャンパンが使われていました。ただどれも重量があり、片手で持ち上げることが出来なかったです。やはりバイキングの末裔は力持ちなのでしょうか。笑

大皿から小皿へ取り分ける食文化


デンマークのミニハンバーグ「フリカデラ」
メインの夕食は大体18時半〜19時の間にとられます。国によって食事の時間帯は大きく異なりますが、デンマークは他のヨーロッパ諸国に比べると比較的早い時間帯に食べる方だと思います。外食も20時以降に出かける人は稀なようです。
夕食は肉や魚の主食にジャガイモやお米の炭水化物、サラダなどの副菜が基本です。
ある日はアンネさんがデンマーク伝統料理の一つである「フリカデラ」という料理を作ってくれました。日本のハンバークを小さくしたような料理で、材料もほとんど同じですが、食感はハンバーグより柔らかいです。ケチャップをかけたり、塩をかけて頂きました。
料理は大皿に盛られ、それぞれ必要な量をそれぞれのお皿に取って食べます。その昔食料不足の時代、家長は食料を分配する権利を持っており、主人が分ける大皿料理は権力の象徴でもあったようです。この大皿を使う習慣は昔からの名残かもしれません。お皿の絵柄がかわいく工夫されているにも、料理をのせる前に目で楽しむためかもしれませんね。

水の代わりにビールを飲んでいたデンマーク人


 デンマーク王室御用達 老舗のビール製造会社「カールスバーグ」社の門
食事と一緒に飲まれるものは、炭酸水や水、アルコールであればビールやワインなどです。クリスティアンさんはお酒、特にワインやウイスキーが大好き。毎月契約しているお酒会社が、その月にオススメのウイスキーを何本が送ってくれるサービスに登録しているようで、私の故郷鳥取県で作られている「倉吉」というウイスキーまで貯蔵されていました。

デンマークで多くの人が消費するビール製造の歴史はとても古く、青銅器時代まで遡ることができます。北欧神話に登場する豊穣の女神フレイヤはビールの神様としても知られています。中世には教会や修道院などでもビール製造が行われていたそうです。コペンハーゲンは水質が悪く、水を飲む代わりにビールを飲んでいたと言われているほど常用されていました。多い時期には400もの醸造所が存在していたようです。

たこ焼きデザート

デンマークにはチョコレートやデニッシュなどのパンを使ったスイーツも多いですが、クリスマスの時期に伝統的に食べられるスイーツがあります。「エイブルスキーパー」と呼ばれるたこ焼きを思い出させる可愛らしいボールのようなお菓子です。アンネさんのお母さんが毎年クリスマスに作り、家族全員が楽しみにしているそうです。私も作り方を伝授してもらいました。丸型のフライパンに生地を流し込み、串でくるくると回転させて満遍なく火を通します。出来上がったら粉砂糖を振りかけて完成です。外はカリッと、中はふっくらしたデコマンのような食感で、ジャムや蜂蜜と一緒にかけてもとても美味しいです。

変化する食の傾向


 年々需要が増え続けるヴィーガン食(Photo:RikuKobayashi)
デンマークには豚が人口の3倍の数飼育されていると言われていますが、伝統的に豚肉やジャガイモを使った料理が長年食されてきました。近年では、健康志向の人が増えてきたことでオーガニック食材が注目されるようになったり、ヴィーガンフードの販売も劇的に増えてきているようです。


 豚肉、ジャガイモを中心とする伝統的なデンマーク料理

ローンボルグ夫婦の世代や彼らの親世代は、豚肉とジャガイモで育ったため、野菜を食べる頻度は若者に比べて圧倒的に少ないように感じます。また外食では、タイ料理をはじめとするアジア料理が大流行しているようで、街を歩くとガラス越しに箸を使って食事をするデンマーク人をよく見かけました。

 

◎主人公が月に話しかける物語。絵本作家アンデルセンが書いた「絵のない絵本」