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パン消費量世界一のトルコ人の食事

こんにちは、定住旅行家のERIKOです。トルコ中央部に位置するかつてカッパドキアと呼ばれた地域にある、ネヴィシュヒル県ウチヒサル村に滞在しています。トルコの料理といえば、世界三大料理の一つとも呼ばれています。これまでトルコ料理をきちんと食べたことがありませんでしたし、イメージもあまり湧きませんでしたが、今では大好きな料理の一つです。私が滞在していたトゥルケ家の食卓をベースにトルコの食生活についてみていきたいと思います。

世界一パンを食べる国民の朝食

現在滞在しているトゥルケ家では、食事は朝食と夕食の12回。お隣のイランは13食、量も多かったのでトルコも似たような感じかと思っておりましたが以外でした。(都会の会社勤めの人などは昼食を食べる人もいるようです)


特に朝ごはんはトルコ人にとってとても大切な食事で、1日のメインとも言えます。トルコは小麦の一大産地でもあり、主食はパン(Ekmek)です。「エキメッキ」と呼ばれるパンは、一見ずっしりとしたフランスパンに見えますが、実は中はとっても軽いパン。外はカリッとしていて、中は綿飴のように薄くふわふわしています。


「スィミット」と呼ばれるゴマパンも良く食べます。ちなみにトルコはパンの消費量が世界一位なのだそうです。


トゥルケ家では、奥さんのギュライさんの実家があるカバック村で自家製のパンをつくっていたので、それを主に食べていました。村には大きな釜が一台あり、それを村人が共有して使っているのが印象的でした。パン作りの様子はこちらから

その他、多種のチーズ、塩気の強いオリーブ、トマト、きゅうり、ハーブやネギなどの香草、卵料理(ゆで卵、オムレツなど)、フルーツなどがテーブルにずらっと並べられます。

正直はじめは何をどのように食べていいかわからなかったです。家族の食べる様子を観察していると、次第にそれぞれの好みの食材をお皿に取り、切ったりに混ぜたり、香辛料などを加えて簡単に調理するようにして食べていることが分かりました。基本的に毎日同じ食材がテーブルに並びますが、味付け方で毎日違った感じで食べられるというなんともクリエイティブな食事方法です!


日本では朝食を食べない私ですが、ここでは毎日食べる習慣がついています。ちなみにこの朝食文化は、オスマン帝国時代の影響を大きく受けています。当時トルココーヒーが流行したことにより、空腹でコーヒーを飲むと胃に負担がかかるということで、コーヒーを飲む前に軽食をとるようになったようです。


トルコ語で朝食は「カフヴァルトゥ」といい、直訳するとコーヒーの前という意味になります。朝食には、チャイ(紅茶)を欠かさず飲み、朝食が終わるとトルココーヒーを飲むという流れです。ちなみに飲み終わった後、底に沈んだコーヒーの粉でコーヒー占いをする人もいました。

自分の畑、ときどきマーケット

日本でも地方に行けば、食料を自給している人が都会よりも多いですが、トルコにも同じことが言えると思います。またトルコの食料自給率は100%を越えています。
トゥルケ家は自宅、そして村にいくつか畑を所有しており、野菜や果物などを育てています。毎日食卓に登場するネギ、レタス、ミントは庭の菜園で育て、調理前に摘み取り新鮮なものがテーブルに並びます。卵も庭で飼育している鶏から収穫します。

砂糖、塩、チーズやヨーグルトなどは、村にあるマーケットや小さな食料品店で購入していますが、極力オーガニックのものをとることを心がけていました。私も日本からお菓子などのお土産を持ってきて渡したのですが、「ノンケミカル?」と聞かれ、少し申し訳ない気持ちに・・・


マーケットには、農家の人たちが直接販売にやってきています。陳列されている野菜はどれもサイズが大きい!トルコ料理に欠かせないトマトは種類別に売られていました。

赤い食べ物の多いトルコ料理


トルコのキッチンはほとんどI型かL字型で、コンロの下に直接ガスボンベが設置されています。調味料以外の調理器具やカトラリー類は収納されています。

食事をする度に驚くのは、その調理器具。はじめて見るものばかりでした。そのいくつかを紹介します。

まずはこちら。カッパドキアの郷土料理「Sac Tava」(サチタバ)に使われる特殊なフライパン、その名も「サチタバ」です。サチは鉄、タバはフライパンという意味があります。


トマト、べビル(青唐辛子)、牛肉を炒めたものに、真ん中にご飯を乗せた料理。熱々の食べる直前に高温に熱された状態で食卓に並ぶのですが、きっとこのフライパンで焼くから美味しいのだと思います。家族やお客さんの人数によって、サチタバの大きさを合わせます。

もう一つは「ギュベチ」。厚手の陶器(と言っても本当に分厚い!)のことで、トルコのシチュー料理に使われる調理器具です。主役の野菜はナスで、トマト、ニンニク、べビル(青唐辛子)、羊肉をカレー粉やクミンなどのスパイスを入れて煮込んだ料理です。
ギュベチの釜だけでも重たいのですが、シチューが入った状態ではなかなか持ち上げられないほどの重さになります。トルコの女性は力持ちでないと務まらないですね。


トゥルケ家のメフメッドさんは料理ができ、よく作ってくれていましたが、トルコでは概ね、家事全般を担っているのは女性。男性が料理などすることは滅多にないのだそうです。


多くの家庭に自宅の中のキッチンと、外に調理をするかまどスペースが設けられていることがあります。量の多いもの、匂いがキツいものは外で調理することが多いです。

ゴミは燃えるゴミと燃えない物に分別して捨てていましたが、生ゴミは捨てずに集めて鶏の餌にしていました。

食事時間も食べるのも早いトルコの夕食

日が沈むのは21時頃と遅めですが、夕食の時間は大体18時半ごろと、お隣のイランやヨーロッパと比べるととても早いです。朝ごはんをしっかり食べるのですが、昼食はとらないため、夕方頃になるとどうしてもお腹が空くためでしょう。


赤レンズ豆のスープ(メジルメッキ・チョルバ)

スターターはスープが出されます。トマトスープや、赤レンズ豆のスープ、ジャガイモのスープなどが多かったです。庭から摘み取ったレタス、ネギ、ミントやラディシュなどの香草の盛り合わせをサラダはいつも食卓に並びます。


トルコ料理はバターやオリーブオイルをたくさん使うので、こうした野菜を合わせて食べることで、胃が重たくなりづらくなる作用があるような気がします。

毎日色々な料理を頂きましたが、トルコ料理はナス、玉ねぎ、ニンニク、トマト、青唐辛子(ビベル)の野菜が本当によく使われていました。

トルコの食事で困ったことがありました。それはみんな食べるのが信じられないくらい早いということ!私も日本では「もう少しゆっくり食べなさい」と友人から指摘されることがあるほど早食い気味なのですが、トルコ人はそれをさらに上回る速さです。会話もほどほどに、席について15分か20分ほどで全部食べ終えてしまいます。いつも私は最後で、みんなの空になった皿を見ながら食事をしていました。どうやらトルコでは食事中あまりぺちゃくちゃ会話をせず、速やかに食べることが良いとされているようです。子どもの頃に親からそう躾けられたという話を何度も聞きました。

一方で、朝食はのんびり時間をかけて食べるのだそう。「友だちと朝食に出かけたら2時間は食べる」という人もいたので、やはりトルコ人にとってのメインは朝ごはんなのでしょう。

昔の人の食材の知恵


カッパドキア滞在中は食べ物が新鮮でよかったのか、体調もとてもよく、たくさん食べているのになぜか体重が落ちるという不思議な現象までありました。体調もすこぶる良かったので、体調が悪いときに食べる食事というものに出会えませんでしたが、家族曰く、「体調が悪い時はスープを飲む」とのことでした。また熱がある時はジャガイモを額に載せると熱を取ってくれるそうです。ポルトガルではキャベツだったのですが、土地が変わればのせる野菜の種類も変わりますね!