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伝統的な南イタリアの生活を送るカソ一家

 

南イタリアへ来た理由

こんにちは、イタリア・プーリヤ州フォッジア県のルチェーラ村に滞在している、モデル・定住旅行家のERIKOです。

私にとって68家族目の滞在となるカソ家を紹介したいと思います。私自身、イタリアに滞在するのは人生2度目で、前回はフィレンツェにイタリア語と美術史を学ぶために留学していました。

正直、初めてイタリアで生活したとき、それまで持っていたイタリアのロマンチックで明るくてというイメージと現実があまりにも違いすぎて、弱冠の裏切られた感もあり、再訪したいという気にはなれませんでした。

去年、ロシアのサンペトブルグへロシア語留学をしていたとき、クラスによく喋る、こんがり焼けた肌の可愛い女性がいました。それが、今回滞在させてもらっているカソ家の末っ子、マリアンナです。

ロシアにいるときは、彼女と話をするとついついイタリア語になってしまうので、それを避けるために一度も学校以外で時間を過ごしたことはありませんでしたが、ロシアを去ってから、たまにメッセージのやり取りをしていました。その縁で今回、彼女の実家に滞在させてもらうことになったのです。

カソ家の人びと

マリアンナのお父さん、フランコさんです。

南イタリアでは、お父さんは家の中心的な存在で、お金の管理や家族の方向性を決めたりする、いわゆるボス的存在で、家族みんなの尊敬を集めています。お仕事は弁護士をされています。
なぜか、イタリアの男性は、レディーファストというイメージを持っている人がいるようですが、私のイタリア人のイメージは、女性がいないと何もできない男性。フランコさんは、典型的なイタリア男児で、まさに男らしい亭主関白。お皿も食事もお父さんが始めに手をつけます。ちなみに、これまで私が訪れた国でフェミニストな国だと思ったのは、アルゼンチンだけです。

 

お母さんの コンチェッタさん。呼び名はティティーナさんです。
イタリアではOh My God!の表現に、”Manma mia!”(私のお母さん)という言葉が使われるほど、マンマはとっても大切な存在です。

イタリア人にとって、命と同じくらい大切とも言える食事の一切を管理するのもマンマの仕事。家庭の味を守っていくにも仕事です。子どもたちも、何か起こる度に、「マンマ!」と呼んで様々なことを相談しています。

イタリアあるあるですが、マンマがキッチンを占領しているため、娘は料理をする機会がなかなか巡って来ず、学ぶ機会が少ないのだそう。そのため、結婚したとき、姑は息子に、「あんたの嫁はあれも作れない、これも作れない」と文句を言われるのだそうです。結婚しても息子はマンマの料理を食べに頻繁に家族と過ごしています。マンマ、あっぱれ!

マリアンナ

18歳からイタリアを出て、海外で勉強し、働いた経験を持っています。彼女は4人兄弟で、ミラノに住む年の離れたお姉さん以外、みんなルチェーラに住んでいます。マリアンナの詳しい生活の様子は、追って書きます。

アルフレッドさん

マリアンナのお兄さん。趣味は乗馬。仕事はお父さんと同じ弁護士をしています。イタリアでは、息子は結婚してもマンマの子どもです。かなりの頻度で家で食事をとり、家の手伝いや家族行事に参加しています。

ジョバンナ

マリアンナのお姉さん。デザートを作るのがとても上手で、毎日キッチンで作業をしています。私に様々なプーリア地方のデザートを教えてくれます。

彼らの名前から分かる通り、カソ家は信仰の深いカトリック教徒の家庭です。特に南イタリアでは、宗教の影響が強く、それが食べ物や行事にも影響しています。彼らの名前の聖人の日には、お祝いも欠かせません。

歴史を感じる彼らのお家

私が滞在させてもらっている家は、オリーブとトマト畑の真ん中にポツンと建っている豪邸、通称”マッセリーア”と呼ばれています。マッセーリーヤとは、プーリア地方独特の農園領主の館のことで、家を全部見ようと思ったら、最低でも1時間はかかるほど広い敷地を有しています。ここでは、農業や動物を飼育しています。庭には、鶏や七面鳥、犬、猫、馬が6頭乗馬ができる場所まであります。

この家が建てられたのは、約800年前。日本で言えば鎌倉時代です。彼らには他にも2つ家所有しています。

貴族出身というわけではありませんが、とてもリッチな家庭と言えるでしょう。

 

お手伝いさんたち

家には、ナイジェリアからボートでイタリアへやってきた難民の男性が2人と、料理専門のお手伝いさんロサリアさんが、常駐しています。

ここでは、動物の面倒を見るのは男の仕事で、女性は家事の一切を切り盛りするという、伝統的な南イタリアの暮らしを営んでいます。力仕事が減っていく世の中で、草食系と言われる男性が多くなる理由が、現代の生活スタイルの変化からまじまじと感じられます。