親のためでなく、社会のために育てる キューバの子育て
こんにちは、モデル・定住旅行家のERIKOです。
定住旅行では、子どもがいる家庭に滞在することも多のですが、家庭に入って、近くで子育てを見ていると、その国民性や価値観が見えてきます。カリブ最大の島、キューバではどんな子育てが行われているのでしょうか?
キューバ人にとって子どもは国の宝
この世の一番の罪は幼児虐待であると言われるほど、キューバ人にとって、子どもは誰にとっても国の宝物です。離婚や再婚の多いキューバでは、再婚相手の子どもであっても自分の子どものように愛し、可愛がるのが当たり前と言われるほど、子どもは愛されるべき存在なのです。
年寄りを敬うこと、大きな声を出さないことが子どものしつけの基本
キューバには、日本と同じように年上の人を敬うのが礼儀と言う習慣があります。ですので、”自分より年が上の人にはリスペクトの気持ちを持って接することが大切だ”と、子どもの頃から教育されます。
また、日頃から大声で話をしがちなキューバ人。気持ちが高ぶって、ついつい楽しい時や感情が高ぶった時に声が大きくなりがちです。これも子どもの時から、「静かに話すようにしなさい」としつけられます。日本であれば、「大きな声ではっきりと話しましょう!」などと言われる場面が多いですが、それとは真反対ですね。
親はなんでも屋になる必要がある!
キューバ人はみんなが職人かと思うほど、なんでも工夫して作ります。それは、物がないからとか壊れたからと言って、簡単に物を買う経済的な余裕がないことや、都合のいい物が売っている場合が少ないからです。
私が滞在しているキューバの家族には、サダミちゃんと言う、6歳の女の子がいます。この位の年齢になると、おもちゃなどが欲しくなると思いますが、親は家族を食べさせることが第一優先なので、食材以外の贅沢はなかなかできません。そこで、子どもが欲しいものは、ほぼ手作りをするんです。
ある時、サダミちゃんが「家が欲しい」と言ったそうで、お母さんのジェリリさんが頑張って手作しました。
それが、こちらです!
すごく上手に作ってあって、びっくりです!
サダミちゃんの成長が早く、今ではギリギリのサイズになってしまいましたが、とっても気に入っているようでした。
また、学校の授業で使う、アメニティなども購入できない家は、親が図画工作して作ったりします。キューバの子育ては、色んな意味で試行錯誤しなければならないですね。
世界共通?子どもたちの間で流行っているアナ雪
現在、キューバの子どもたちの間で圧倒的に人気があるのが、ディズニーの”アナ雪”。どの国でも子どもたちに人気が出るものは似ているのでしょうか。
たまに、キューバでは売っていないような、アナ雪のグッズなどを持っている子どもを見かけたりもします。それらの物を持っている子どもの家は、家族や親戚の誰かが海外で働いており、その人たちを通じて手に入れているものがほとんどです。
学校ではクラスメイトの誕生日を祝うパーティーが定期的に行われており、子どもたちが外国のキャンディーやお菓子などを家に持ち帰ったりしています。
また、最近は土曜の夜に日本のアニメ、犬夜叉が放送されており、子どもに人気が出ています。
ジェリリさんに聞いた、子育てで大切なこと
サダミちゃんのお母さん、ジェリリさんに、子育てで大切なことを聞いてみました。
「子育ては親や家族のためにあるのではく、社会のためにするのが前提です。人や子どもは社会の一部ですので、親や家族の個人的なもののためにするものではないと思っています。また、私個人的には、色んなことを好きであることがとても大事だと思います。自分が好きなものは知りたいので、質問するようになります。それが人とのコミュニケーションを生むし、たくさんの情報や広がりを得ることができ、時には自分の身を守ることや、生活に欠かせないことを知り得ることもできると思うんです。世の中の多くの問題は、会話の中から得られる知恵で解決できます。知らなかったら、自分が損することだってあると思うのです。その最も大切な根源は、何かを好きになることではないでしょうか」
ジェリリさんの話を聞いて、キューバの人たちは個人主義ではなく、常に人の調和を考えているのだと改めて感じました。
子どもがいるだけで、賑やかになる家庭。今日も、サダミちゃんのひとりコンサートが幕を開けます。