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IT都市”イノポリス”で勉強する大学生たち

  • 09.22.2019
  • タタールスタン共和国 Tatarstan

こんにちは、モデル・定住旅行家のERIKOです。ロシア最大の少数民族タタール人が暮らす、タタールスタン共和国。首都のカザンはロシアで第三の規模を誇るほど発展した大都市で、100万人以上の人びとが暮らしています。

タタールスタンといえば、石油やガスが取れることでも有名ですが、農業なども盛んに行われています。そして、近年タタールが国をあげて力を入れている産業が、ITテクノロジーです。タタールスタンの大統領ルスタム・ミンニハノフ氏のあだ名は、”ルスタム・コンピューター”。
そう国民に呼ばれるほどIT産業強化に努めています。
                           化学産業の経済特区「ヒムグラッド」
タタールスタン国内には、アラブカ、ヒムグラッドなどのプロダクト産業や科学産業を主体とした経済特区がありますが、ITに特化した、「ITパーク」や「イイノポリス」と呼ばれる経済特区もあり、年々活発な活動が増えています。
ロシア周辺のウクライナ、ベラルーシなどもIT産業に力を入れており、多くの事業開発や優秀なエンジニアを世に送り出していますが、ロシアもそれに負けないとばかりに力を入れ始めています。
現在ロシアのIT産業を支えるために必要なエンジニアの数は、年間で50万人も不足していると言われています。

ロシアで一番勢いのあるIT都市「Innopolis」イイノポリス

IT都市イノポリスは、カザンから北東40kmのところにある、ソ連崩壊以降にできた新しい都市です。
ネドベージョフ元大統領とルスタム大統領の構想の果てに、2015年にオープンした最も若い都市です。全ての建物がモダンで近代的、市内を走るタクシーはドライバーレスと、未来都市にやってきたような印象を受けます。

                    イノポリスCEO ナレット・ハリモフ氏
このイイノポリスには現在、80の企業が入っており、イノベイティブで画期的なプロジェクトが進行されています。

              トヨタとヤンデックスが開発したドライバーレスのタクシー
イノポリスの人口は3,500人。ここに住む人のほとんどは、イノポリスで働く人や、イノポリス大学の学生たちです。市内には病院やフィットネスクラブ、バー、スーパーマーケットはもちろんのこと、近くに山があり、ゴルフやスキーを楽しむことができます。
ここに住むことで大きなメリットもあります。それは、交通費や電気、ガス、水道代が無料になること、またマンションの家賃が家具付きで非常に低価格で借りることができるのです。その値段は、3LDKで260ドル(約28,000円)ほどです。

イノポリスのIT産業を支える要ともなっているのが、未来のITエンジニアーを生み出す「イノポリス大学」です。約600人の生徒たちがIT産業を学んでおり、その30%はラテンアメリカ、スペイン、中東からなどの外国人です。

大学内には寮が完備されており、ほとんどの生徒はそこで暮らしています。
授業科目はソフトウェアエンジニア、ロボティック、デジタルグラフィックなどのベーシックなものから、スポーツ、哲学、歴史なども学ぶことができます。授業は全てITの共通言語である英語で行われています。(哲学と歴史以外)
この大学のユニークな点は、授業内容がイイノポリスに入っている企業のニーズや世の中の傾向によって加えられたり、学生たちは日常的に会社のプロジェクトに参加して、一緒に開発を行ったりしていることでしょう。

大学生に聞いてみた!イノポリスでの生活

                            ミーシャさん

現在、2年生のミーシャさんと3年生のファラットさんに大学生活のお話を伺ってみました。

Q、イイノポリスでは何を専攻していますか?

ミーシャさん:データサイエンスです。

ファラットさん:僕もデータサイエンスを専攻しています。

Q、この大学での生活はいかがですか?

ミーシャさん:僕たちは寮に暮らしていますが、大学内にあるので、非常に便利です。またカップル用の寮も完備されているのも近代的です。困ったことがあると大学のTelegramチャットに投稿すれば、すぐに返答がきて対応してくれるので、安心です。僕はほとんどテレビを見ないし、イノポリスでは政治的な話がほとんどされないのがとてもいいと思います。

ファラットさん:僕もとても快適に過ごしています。特にイノポリスに入っている企業のプロジェクトに参加できるので、勉強したことを実践できるのがいいです。あと、就職に100%困らないことでしょうか。

                      ファラットさん

Q、逆にこの部分は辛いということはありますか?

ミーシャさん:そうですね、女性が大学内に17%しかいないので、街へ出ないと女性との出会いがありませんね。笑

ファラットさん:僕は以前、週に何度かカザンでバスケットをしていたので、毎回出かける度に交通費がかかるのが大変でした。イノポリス市内の交通費は無料ですが。
また、世の中の流れや企業の要求によって、授業内容が変わるので、臨機応変に対応しなければならない時もあり、楽しい反面、大変な部分もあります。

Q、卒業後のプランを教えてください

ミーシャさん:僕もファラットもスカラーシップの生徒として入学したので、学費は払っていないのですが、卒業したらイノポリスで1年間働かなければいけません。それが終わったら、マスタープログラムを活用してアメリカか日本で働きたいです。先輩に、「アジアの言語を一つ習った方がいい」と言われて、今日本語を習っています。日本はITという面でいうと遅れている国ですが、個人的に日本文化が好きで惹かれます。

ファラットさん:僕は一年働いた後、スペインかオーストラリアに行きたいです。ロシアの冬は寒いので、単純に暖かい気候の国に憧れています。

近代的でイノベイティブなIT都市イノポリス、あなたは住んでみたいですか?