ポルトガル一食事の美味しい中部地方
こんにちは、定住旅行家のERIKOです。夏の時期、ポルトガルで一番気温が上がる中部地方へ来ています。滞在しているのは、ベイラ・バイシャ州にある人口50人ほどのカステロ・ノーボという小さな村です。中部地方はポルトガルの中でも特に食べ物が美味しい地域として知られています。この村では、「Pedra Novaぺドラ・ノーヴァ」というポウサーダ(宿泊施設)を営むミゲルさんとペドロのさん夫婦の家庭に滞在をしています。ぺドラノーヴァの運営をするミゲルさんは、シェフとしてゲストにポルトガルの伝統料理を振る舞うほど料理上手です。村に滞在中に出会った「食」とは!?
1001のレシピがあるタラ料理
ポルトガル人の年間の魚の消費量は国民一人当たりおよそ55kgと言われています。日本人も魚を多く食べているイメージがありますが、実際は年間23.4キロと年々減少傾向にあるようです。ポルトガルではさまざまな種類の魚が食べられていますが、中でも「バカリャオ」(鱈)はポルトガルを代表する魚と言われています。
ポルトガルにはバカリャウのレシピが1001あると言われるほど!スーパーなどに行くと、ほとんどの鱈は乾燥されたものか、塩漬けで売られており、水で戻して調理するのが一般的です。この塩漬けは14世紀から伝わる保存方法の一つ。大航海時代、長い航海に持ち堪えられる食材として重宝されていた歴史があります。
鱈は高タンパクでミネラル分やビタミンB、オメガ3が多く含まれており、脂肪も少ない魚です。私もポルトガル滞在中に何度も鱈料理を頂きましたが、中でもミゲルさんが作ってくれた“バカリャウ・コン・ブロア”bacalhau con broaは絶品でした。
材料は玉ねぎ、とうもろこしパン、ケール、鱈のシンプルなもの。香ばしくカリッとした歯応えのあるパンに塩気のある鱈の出汁が染み込んでいて、いくらでも食べれそうでした。
海の幸と山の幸を組み合わせた大皿料理
ポルトガル中南部にアレンテージョという地方があります。その地域を代表する伝統料理が「ポルコ・アラ・アレンテジャーナ」と呼ばれるアサリと豚肉の蒸し煮です。(アルガルヴェ地方の説もあり)海と山の産物の美味しいところと組み合わせた味わいを一つの料理で味わうことのできる料理です。
カルテロ・ノーヴォ村に暮らす建築家のアナさんの息子さんにレシピを教えてもらいました。
偶然かもしれませんが、ポルトガルへきてから、頻繁に若い男性が調理しているのに遭遇しています。マルティンさんにそのことを伝えると、最近テレビでシェフの料理番組が人気があり、それに触発されて若い男性が料理学校へ通ったり、趣味として料理をはじめているのだと知りました。
ポルコ・アラ・アレンテジャーナをつくるポイントは、豚肉にMassa de pimentao(マッサデピメンタオ)という、赤パプリカペースト加え、白ワイン、ローリエ、にんにく、胡椒、塩を一緒に一晩漬け込んで肉に味をしっかり染み込ませておくことです。またポルトガルの一部の地域でよく料理に使われるコリアンダーを添えるのもポイントです。ポルコ・アラ・アレンテジャーナはポルトガルの典型的な大皿料理で、大量に作って大勢の人たちと食べる料理です。
中央がアナさんの息子マルティンさん
ポルトガルの味噌汁 カルド・ベルデ
こちらも中部地方でよく食べた料理「カルド・ベルデ」。最初に食べたとき、何だか知っている味!と思ったのをよく覚えています。材料はケールとじゃがいもなのですが、どことない塩加減や食感が味噌汁をのんでいるような感覚になるのです。
新田次郎の小説「孤愁 サウダーデ」の中で、ポルトガル人のモラエスさんが、味噌汁をのんだとき、故郷と同じ味がすると言って好んで食べたという記述がありますが、きっとこのカルド・ヴェルデのことでしょう。
シンプルにそのまま食べても美味しいですが、スパイシーなチョリソをアクセントに加えると味変も楽しめます。
ポルトガル1の生産量さくらんぼ
私が中部地方に滞在した6月上旬は、さくらんぼの季節真っ盛りで、人生でこれほどさくらんぼを食べたことはないほど毎日美味しいさくらんぼを堪能しました。中部地方のベイラバイシャ州はポルトガル一のさくらんぼの生産地であり、ポルトガルのさくらんぼの60%~70%がここで収穫されています。
観光客向けのさくらんぼ狩りは行われてないのですが、特別に収穫をお手伝いさせてもらいました。6ヘクタールあるさくらんぼ畑で、赤黒く熟れたさくらんぼの柄の部分を丁寧に枝から外してカゴに入れていきます。問題なのは、艶やかなさくらんぼを手にすると、カゴに入れる前に口に入ってしまうことです。(笑)
プリッとした食感が口の中で弾けて甘酸っぱい果汁が広がる瞬間がたまりません。ポルトガルでは一箱7ユーロ(1kg)というお手頃な価格で購入することができます。
こちらはSaco cova da beiraという品種のさくらんぼで作られたリキュール「リコール・デ・セレイジャ」