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マデイラの地形が生み出す山と海の絶景

こんにちは、定住旅行家のERIKOです。現在滞在中のポルトガル南西に位置するマデイラ諸島は、大西洋に浮かぶポルトサント島、2つの無人島デゼルタス島、セルヴァージェ島とマデイラ島の4つの島からなっています。
マデイラ島はポルトガル語で「木」を意味しますが、無人島だったこの島に辿り着いた探検家が上陸できないほどの木々に覆われていたことから名付けられたそうです。
東西に長い形をしている、奄美大島ほどの面積のマデイラ島は、火山島であり、1,862mのピコ・ルイボ山をはじめとする山々が存在します。海のイメージが強いマデイラですが、山のレジャーもたくさん楽しむことができます。
マデイラ島は北ヨーロッパ人にとってのリゾート地でもあり、コロナ以前は年間850万人の外国人が訪れていました。私がこの島に滞在した2022年6月には観光客も徐々に戻ってきているようでした。

氷河期前のヨーロッパの原生林に出会える森


マデイラ島の魅力は山と海が楽しめること。この土地は標高1,862mのピコルイボをはじめ、急峻な山々が連なった地形をしています。この島には農業に使うために15世紀に作られたレバーダと呼ばれる灌漑用水が島の北部から南部まで張り巡らされています。その長さおよそ3,000km!北海道から沖縄までの距離に相当するほど長いです。レバーダは農作物のための用水以外にも、家庭用水、また60年代より水力発電にも活用されています。


このレバーダに沿って山歩きができる、レバーダトレッキングと呼ばれるコースがあります。特にオススメなのが、Risco(リスコ)と25Fontes(ベンテシンコフォンテス)の滝が見られるコース。標高1,160m地点のRabacalから出発し、ほとんど平な道を歩いて標高950mのCalhetaまで約12kmの距離を4時間かけて歩きます。

マデイラ名物レバーダウォーク


マデイラの強風で曲がった樹々たち
マデイラ島は1日のうちに全ての天気が訪れると言われていますが、この日もトレッキング開始時は小雨で気温も10度以下でした。
マデイラの森は「ラルリシルヴァ」(照葉樹林の原生林)と呼ばれ、氷河期以前にヨーロッパで植生していた原生林がそのまま残っている世界最大の場所なのです。つまり、数百年前の南ヨーロッパの原生林の姿に出会えるということです。ポルトガル唯一の世界自然遺産としてUNESCOに登録されています。
レバーダに沿って森の中を歩いていくのですが、木々や苔がしっとりとしていて、からだがリラックスしていくのを感じます。ときに道幅が極端に狭くなり、トレッカーたちがすれ違えないほどになるので、観光客の少ない時期に歩くのがおすすめかもしれません。

 

Riscoの滝 200mの落差

 

25Fontes

大西洋を望む海の絶景


マデイラ島のイメージといえば海です。島で生活していると、どこ場所にいても海が見渡せ日常的に海が身近な存在です。
さまざまな顔を見せてくれるマデイラ島の海の景色の中でも、最東端にあるポンタ・デ・サウ・ロレンソ(Ponta de São Lourenço)は特別でした。
風に削られてできた玄武岩が形成する岩の柱に叩きつけられる真っ青な海と、海が呼吸を連想させるような白い海の花はずっと眺めていてもあきません。しかし絶壁は真っ直ぐ立っていられないほどの強風が吹き荒れ、限られた時間しかいられませんでした。

山と海、是非この島を訪れるときは、あなたの好きなマデイラの姿を見つけてみてください。

 

◎「レトロな旅時間ポルトガルへ」矢野有貴見