世界のお墓〜パラオ編〜
こんにちは、モデル・定住旅行家のERIKOです。西太平洋のミクロネシアにあるパラオに来ています。世界中で定住旅行する度に必ず訪れているお墓ですが、ここパラオは一体どんな感じなのでしょうか。
廃墟のような墓場
「お墓に連れていって」と家族にお願いし、連れて行ってもらった墓地は、お墓というより廃墟と言った感じでした。現地の方によると、墓地の埋葬場所はクラン(氏族)によって分かれているそうです。特にお墓参りをする日というのはないそうで、自分の肉親がどこに埋葬されているか忘れることもしばしばあるのだそうです。
お墓と同居
伝統的にパラオ社会でクラン(氏族)の位が高い家系は、家の敷地内にお墓を作る習慣があります。
こちらは、私のパラオの家族のお母さんローリーさんの妹さんが暮らす家です。玄関前のスペースが彼らの祖父母、両親のお墓となっています。お墓は石で囲われ、石碑が建てられており、集合墓地とは違って大切にされている雰囲気がありました。
人生は日が昇って沈むようなもの
彼らの暮石にはパラオらしい故人の生誕日と没年月日の書き方があります。
生まれた日を”Sunrise=日の出”、亡くなった日を”Sunset=日の入り”と表現しています。1年中太陽が燦々と照りつけるパラオらしい、人の命の表し方だなあと感じました。
故人の価値は亀の甲羅で決まる
日本ではお葬式の時に、御香典(仏教)や御榊料(神道)、御花科(キリスト教)を持っていく習慣がありますが、パラオではあるものを葬式に持っていきます。
それが「亀の甲羅」。パラオではお金のように価値があるものの一つとして知られています。これを生前お世話になった方のお葬式に持っていくのだそうです。
この亀の甲羅の数は、生前の故人がそれだけ親しまれ、価値があったかというバロメーターになるのだそうです。多ければ多いほど、皆さんから慕われていたということになります。時々、甲羅の数がとても多いお葬式があったりすると、それが新聞に載ったりすることもあるのだそうです。
日本ももうすぐ、皇位継承に伴う皇室の儀式「大嘗祭」が行われます。この儀式は、亀の甲羅を使った占いで、701年頃には行われていた儀式だと言われています。「亀卜」(きぼく)と呼ばれるそれは、亀の甲羅を焼き、そのひび割れの加減の具合で11月に行われる大嘗祭の中心儀式、大嘗宮の儀に使用する新穀を収穫する都道府県を選ぶというものだそうです。
国が違えど、亀の甲羅の貴重性が価値は共通するものがあるのかもしれません。
世界で唯一 プロペラの墓
こちらは第二次世界対戦の激戦区となったペリリュー島にある記念碑墓地です。ここには、激闘を戦った軍人の方たちの慰霊碑があります。2015年に天皇皇后両陛下がペリュリュー島へ慰霊に来られた時にも、この場所を参拝されました。
そして世界で唯一ここにしかないお墓があります。それが、戦時中に使用されていた飛行機のプロペラで作ったお墓です。一見なんだか分かりませんでしたが、よく見ると細長い飛行機のプロペラでした。
ここペリュリュー島には未だに、戦車や大砲、零戦など戦争の爪痕が至る所に残っています。また、ここに暮らすペリリュー島民は、爆弾や大砲の一部を家の前や中に置いて、飾りやインテリアのようにしている人も少なくありません。
集合墓地へ行った時は、パラオ人は故人に対して思いが薄い国民性なのかと思いましたし、「先祖を大事にする気持ちは、パラオ人に伝統的にあるが、最近はそれが薄れてしまっている」と家族からも聞きました。しかし、家の中には先祖の写真が飾ってあったり、亡くなった人の話は日常的によくしていたので、形式にはとらわれず、先祖は彼らの心の中で生きているように感じました。