レンカ族のサライちゃんの生活
9つの先住民グループが暮らす、ホンジュラス
こんにちは、モデル・定住旅行家のERIKOです。
最近、日本にも多くの外国人が訪れたり、住むようになり、国内でも他民族と接する機会が多くなりました。
世界の多くの国には、同じ国民でありながらも、国内に異なった民族の人びとが暮らしている環境が珍しくありません。中米のホンジュラスもその一つです。
ホンジュラスには、大まかに9つのグループの先住民族が存在し、モンゴロイドの系からカリビアンの血が入った人たちなど多様性に富んでいます。
2013年にホンジュラスを訪問した時には、ロアタン島に住む、ガリフナ族の家庭で定住旅行を経験しました。
今回は、インティブカ県に暮らす、民族衣装が独特なレンカ族の村を訪問させてもらいました。
そこで出会った、15歳のサライちゃんに村の生活を見せてもらいました。
レンカ族のカラフルな民族衣装
レンカ族の民族衣装を見せてもらった時、「これは、パーティー用の衣装か?」と思ったほど、カラフルでモダンな衣装だったのが印象的でした。私がこれまで見たことのある中米の民族衣装というと、織物系がほとんどだったので、とても新鮮でした。
女性用はベルトが付いたワンピースで、原色や発色の強い色が多く、この服に”パニュエロ”と呼ばれるバンダナを巻きます。
男性の民族衣装の特徴は、シャツに装飾された織物の柄が付いていることです。これにジーズンやパンツを合わせて着るのですが、アクセントになっていてとってもお洒落です。
サライちゃんの暮らし
サライちゃんは現在15歳。生まれも育ちもこの村です。
毎日家事をこなしながら、家の目の前にある、民芸品を織るコミュニティで働いています。
弟たちは、近くの畑で農作業をしているそう。朝は3時に起きて、家事や食事を作り、日中は作業小屋で仕事、そして夜8時には眠りにつくそうです。
ERIKO:「都会でて暮らそうと思ったことはありますか?」
サライちゃん:「いいえ、この仕事と村がとても好きで満足しているので、一度も出ようと思ったことはありません」
新しいコミュニティの形
この村に住んでいる女性は昔から専業主婦として暮らしていました。ここ近年、レンカ族の民芸品の伝統を守り、女性たちを中心に働く場所を提供しようという動きが出てきて、民芸品を作るコミュニティができたそうです。
村の人びとは、このコミュニティを通して、自分自身の新たな価値の発見と、レンカとしてのアイデンティティを再認識できる場所を見つけられたと、生き生きとしていました。
子どもたちもハサミを使って、布を切る練習などをしていました。
レンカの伝統料理
我々を歓迎して、村の女性たちがレンカ族のご馳走、Sopa de Gallina (チキンスープ)を振舞ってくださいました。
味はとてもクリーミーで濃厚。パンとも合う絶品でした。
スープの中にあるお客様が紛れ込んでいたのですが、その詳しい様子は記事下のyotubeリンクからご覧ください!
レンカ族に伝わる言い伝え
土地に伝わる言い伝えは、その人びとの暮らしや知恵を内包していてとても興味深いです。レンカ族の人びとの間でも、人びとが信じている面白い言い伝えがありました。
「ハチドリが来たら、遠くの親戚が訪ねてくる」
「赤ちゃんが生まれたら、女性は焚き火を吹いてはいけない、男性はサッカーをしてないけない、タバコを吸ってはいけない」
「妊婦さんが日食に当たった時、鏡や湖を覗き込んではいけない。外に出るときは、赤い紐をお腹に巻いて出る」
話の中では、特に妊婦さんにまつわる言い伝えがとても多く、彼らにとってとても大切な行事であることを伺い知ることができました。
庭に育つ薬草
サライちゃんが庭を紹介をしてくれた時の知識の量には、本当に驚かされました。一見、普通に見えるの木や花もほとんど薬草に使われているそうで、どのような組み合わせで使用するかも把握しているのです。
サライちゃんが教えてくれたその一部をご紹介したいと思います。
ブーゲンビリア(ナポレオン)
咳、気管支炎、風邪、喘息に効く。
花びらに見える色のついた部分だけを乾燥させて、お茶として飲むそうです。日本でも見かける花ですね!
ルーダ
煎じて飲むと、腹痛に効くそうです。また、魂の浄化にも使われる神聖な花でもあります。
出産後、生理痛にはこの組み合わせ
左から
・リキダンバルの木肌
・スクナン
・カモミール
・ジンジャー
上記は主に、出産後や生理痛がひどい時にこれらを合わせて煎じて飲むそうです。そうでない時でもとても美味しそうな組み合わせ!
素敵な村の人たち
私たちが到着した時、ロケット花火を打ち上げて歓迎してくれ、美味しい伝統料理をふるまってくれた村の人たちは、私たちが喜んでいる以上に、与える喜びに満たされているようでした。
正直、村に着いたときは、どこにでもあるホンジュラスの田舎という感じでしたが、村の人たちと接する間に、彼らの頭に広がる知識や想像力の断片に触れ、この小さな村の中に、決して飽きない世界が広がっているんだなと感じさせてくれました。