定住旅行106家族目 デンマーク・コペンハーゲン
こんにちは、定住旅行家のERIKOです。グリーンランドで1ヶ月の定住旅行を終えた後、グリーンランドを自治領とするデンマークの首都コペンハーゲンへ向かい、約半月ほど滞在をしました。
デンマークという国
コペンハーゲン市内はマスクなしの生活
デンマークと言えば、10世紀中ばから続く世界で最も古い王国で、昔はバイキングの国としても知られていました。現代は環境、福祉、デザイン分野で先駆的なイメージが浮かぶ国です。東はバルト海、西は北海に面しており、ユトランド半島、シェラン島、フュン島など400以上の島からなる平らな土地です。
国民の人口は約560万人で、ちょうど兵庫県ほどの人びとが暮らしています。EUに加盟しているのですが、経済通貨同盟、防衛政策、欧州市民権、司法内務協力はエディンバラ合意により適応除外が認められていルので、EUの優等生とは言い難いかもしれません。通貨はデンマーク・クローネが使用されています。言語はデンマーク語が話され、ほとんどの人に英語が通じます。
私が到着したのは10月末で、ちょうどサマータイムからウインタータイムに時間が変わる時でした。気温は5℃〜10℃前後で、毎日太陽が顔を出さないグレー色の空が続いていました。
コペンハーゲンに暮らすスポーツ一家
滞在させてもらったのは、首都のコペンハーゲンに暮らすローンボルグ夫婦の家です。イスラエル人の友人を介してこの家族に巡り合いました。お二人ともオープンマインドな性格で、快く歓迎してくれました。彼らはコペンハーゲン郊外に生まれ育ち、二人の娘を育てた後、コペンハーゲン市内のマンションを購入し、拠点を現在お住まいの市内に移しました。
コロナ禍で在宅勤務が多くなり、自宅にオフィスを設置したアンネさん
アンネさんは大手保険会社のIT企業の社長を務めている方です。とても穏やかな性格で、多忙な日々を送りながらも、滞在のサポートを全力でしてくれ、デンマークについても経済から文化、歴史まで豊富な知識で色んなことを教えてくれました。彼女は理系の大学を出たのち、IBMに就職しましたが、アメリカの大学のPh.D.の誘いを受け、悩んだ結果退職し、1年間学位を取るため旦那さんと共にアメリカへ渡りました。この時期にいろんな国を訪問したそうで、今を振り返るといい決断だったと話していました。幼い頃にハンドボールを始め、つい最近まで現役でプレーされていました。
クリスティアンさんは約2メートル近い身長がある、デンマーク人の中でも大柄な男性です。人生で初めて就職した電気機器の会社に20年以上勤務されています。趣味は夫婦共にゴルフで、休日には近場で、長期休暇の時には海外へ行ってプレーを楽しんでいるようです。彼もハンドボールを長年プレーしていました。仕事が終わると2日に1回ジムでグループトレーニングを行っています。その目的はトレーニングが終わった後に立ち寄るバーで仲間と一杯やることだそうです。
彼らの二人の娘さんは、プロのハンドボール選手として「アジャックスコペンハーゲン」というチームでプレーしています。ハンドボールは1チーム7人ずつでボールを手で扱い、相手のゴールに入れて得点を競う20世紀初頭にヨーロッパで出来たスポーツで、デンマークでは老若男女に人気があります。
長女のサラさんはチームのゴールキーパーを務めています。大学での勉強とハンドボールを続けながら、毎週デンマーク国内のどこかで試合のために全国各地を転々と移動する生活を送っていたそうですが、私が滞在中にちょうど就職が決まり、仕事とハンドボールを両立する生活に切り替わったようです。多くのハンドボール選手はハンドボールだけでは生計が立てられないため、彼女のように学業や仕事を両立している選手も少なくありません。
次女のスティーンさんはセンターフォワードという主要な攻撃ポジションで活躍しています。彼女もハンドボールと学業に勤しむ生活を送る一人です。一つのことに打ち込むと一生懸命やりすぎて自分を追い込んでしまう性格だそうで、勉強もハンドボールにも真摯に取り組んでいましたが、試合に負けたりすると、しばらく考え込んでしまい睡眠などが取れなくなってしまうと話していました。
二人の馴れ初めとデンマーク人の結婚観
アンネさんとクリスティアンさんは、コペンハーゲン郊外のHerstedvester(ハーステッドベスター)という地区で生まれ育ち、学生の時に出会ったそうです。アンネさん26歳、クリスティアンさん27歳の時に結婚し、同年に長女のサラさんを授かりました。
アンネさんが結婚した頃と、現代では結婚観が大きく変化しているようで、多くの人たちはパートナーを持つという形で家族を形成する人が多く、正式な結婚をする人は昔と比べずいぶん減っているようです。
平均初婚年齢は、男性35歳、女性32歳で、離婚率も極めて高く、ピークの2014年は54%と2組のうち1組が離婚するような割合の時期もあったようです。2019年から18歳以下の子どもを持つ夫婦は離婚成立まで3ヶ月の別居期間を設け、子どもに担当者をつけて意見を反映しやすくする「ウェイティング期間」という新しい制度が設けられたことで一時離婚率が35%まで下がりましたが、2020年には48%に戻っています。
デンマークでは離婚後も特別な理由がない限り共同親権が一般的で、子どもは50%ずつ父親と母親と過ごすことも多くあります。
離婚率が高いことをどう見るかは、その国の文化や個人差がありますが、「人は平等で自由」という精神を持つデンマーク人には、離婚は必ずしもマイナスなことではないと言えるかもしれません。
次回からはローンボルグ一家との暮らしから見えてくるデンマークの姿をお伝えします!