涙のお別れ

「こんな短い間であなたが去って行く時にこんなに悲しくなるなんて、来たときには思いもしなかったわ」と、スベトラーナさんが涙ぐむ。家に到着した初日、初めて外国人が家に来るということで、どうしたらいいのだろうとやや緊張気味だった彼女。

この涙のお別れをした1時間後にまた、スベトラーナさんと再会することとなろうとは、この時誰も知らない。

 

「ここから出発する飛行機がまだ到着してないため、今日はフライトがキャンセルになりました」

空港へ着くなり、掲示板で飛行機がキャンセルになったことを知る・・・
こうなると大体ホテル送りになるのだが、カウンターのお姉さんにホテルへの案内をしてもらっている途中に、
「今日は家に帰って、また明日来よう!」とアンドレイさん。
なんだか悪いなぁ〜と思いながら、とぼとぼアンドレイさんの後ろを歩く私。

「これがロシアだよ!」とケラケラ笑うアンドレイさん。

 

「あれ、お姉さんまた来たの?」

家に戻ると、次女のアリサちゃんの4歳の誕生日パーティーでたくさんの人が集まっていました。

私を見た奥さんのスベトラーナさんは、なぜか少し申し訳なさそうにしています。

 

旅人を送り出したら、掃除をしてはいけない

 

賑やかなパーティーが終わって、ウォッカを飲んでいると、今日の話になりました。

「実はあなたが家を出た後、アリサが床に飲み物をこぼしたから拭いてしまったのよ。そしたら案の定、あなたは旅に出られなかったわね」

ん?なんのことやらさっぱりわからない。どうしてこぼれた飲み物を拭いたことと、私の旅との関係があるのだろうか?

実はロシアでは、とんでもない言い伝えがたくさんある。その中の一つが、

“遠いところへ旅をする人が家を出たら、その人が目的地に着くまで部屋を掃除してはいけない”という言い伝えです。

信じるか信じないかはみなさまの自由ですが、少なからず家族全員が、掃除したせいで私が目的地に辿りつけなかったということになりました。

旅にまつわる可笑しなロシアの言い伝え

ロシアの旅(お出かけ)に関する言い伝えはたくさんありますが、その中でも重要なこの2つを紹介したいと思います。

まず一つ目は、忘れ物に対する対処の仕方です。

ロシアでは、家を出てから忘れ物をして戻ると縁起が悪いと言われています。ですので、万が一忘れ物をして戻った場合は、鏡の前で思いっきり変な顔をして家を出ると大丈夫だと言われています。
家族にそれを再現してもらいましたが、皆さん忘れ物に関しては羞恥心はなさそうです。

ホテルや旅館で働いている皆様、ロシア人のお客様が忘れ物をした場合は、鏡を用意して、彼らを安心させてくださいね。笑

そしてもう一つ!
家から出る前は、на дорожку(ナダロージュク)と言って、一度ゆっくり椅子に座ってお茶を飲んだり話をしたりして、気持ちを落ち着かせるということをします。
これは本当に急いでいる時でもやるので、家を出る前にゆっくりする時間を持つことは本当に大事なことなのでしょう。