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あなたの知らないスペイン 〜バスク地方〜

こんにちは、モデル・定住旅行家のERIKOです。バスク地方にて定住旅行しています。
 バスク地方は、フランスとスペインの両国にまたがっています。全体で3つの州に分かれており、スペイン側に4つ(ビスカヤ、ギプスコア、ナバラ、アラバ)、フランス側に3つの地域(ラブール、バス=ナヴァール、スール)があります。また両国の国境の稜線は、標高2,000mを超える山々が連なっている山岳地帯です。バスク地方にいると、スペインの国旗を見ることは稀なほど、バスクの国旗がはためいています。

このバスク地方は、特有の文化や言語習慣が残っていることで世界的にも有名です。諸説ありますが、ヨーロッパ最古の民族だとも言われています。

バスク人はリーダー気質?

日本にキリスト教を伝えた、フランシスコ・ザビエル、ラテンアメリカでは誰もが知っている、シモン・ボルバルは16世紀にバスク地方のビスカヤからベネズエラに移住したバスク人の家系をルーツに持っています。革命家のチェ・ゲバラ(エルネスト・ゲバラ)の父はバスクの移民でありました。

超難解なバスク語

現地で生活していると、圧倒的にバスク語を聞く割合が多いです。このバスク語ですが、スペイン語とは全く似ていない、独立言語です。西ヨーロッパで生き残った唯一のインド=ヨーロッパ語族以前の言語だと言われています。格言語(名詞句に接尾辞をつけ表示する)であり、その格数はロシア語やラテン語より多く、なんと14格もあります。バスク語の格数を上回るのは15格のフィンランド語だけかもしれません。

また現地ではドラえもんの放送がバスク語で行われていました。バスクの子どもたちは、ドラえもんがスペイン語で話していると違和感を感じるのだそうです。笑

バスク語の挨拶を少しご紹介します!

こんにちは=Kaixo (カイショ)

ありがとう=Eskerrik asko(エスケリカスコ)

元気ですか?=Zer moduz?(セルモドゥス)

巻き舌Rの音がスペイン語より強く強調され、全体的に硬いイメージを感じる言語です。

そして超難解なのが、数字!

41は2+20+1、50は2×20+10、極め付けの99は4×20+10+9と表現します。フランス語の数字の考え方とよく似ていますね。

バスク人がよく使う表現で我々日本人に親しみのあるのが、「あら~!」です。驚いた時や感心した時によく頻繁に使われます。

こちらはマドンナがコンサートで歌ったバスク語の有名な曲。


「Kalakan カラカン」

バスク語の学校を訪問

スペインでは、フランシスコ・フランコが政権を握っていた時代(1939年~1975年)、バスク語やカタルーニャ語の使用が禁止されていた時代があり、その時代を生きていた現在の50歳~80歳前後のバスク人はスペイン語しか解さない人がほとんどです。
現在、バスク地方では、カタルーニャ地方がカタルーニャ語で学校教育を義務づけるような言語教育は行っておらず、親が自由にスペイン語教育の学校に入れるか、バスク語の学校に子どもを入れるかを選べることができます。

              校長先生のIratxe Oleaイラツェ・オレアさん

ナゴレさんの妹さんの子どもが通う「ガンダセギ学校」を訪問させてもらい、日本についての授業を行わせてもらいました。私が話を進めるのもままならないほど、子どもたちの質問責めにあいました。
「ご飯に箸をさすのは行儀が悪いのか?」

「食事を残すと親から怒られるのか?」

などなど、どこでそんな情報を得たのだろうと思ってしまうほど、日本のことに興味を持ってくれていたことに驚きました。

とにかく喋るのが大好きな子どもたち。食堂には、おしゃべりの音量を感知する信号機も!青は適度な音量、黄色はボリュームに注意、赤はうるさすぎを示すもの。スペイン人の高いコミュニケーション能力はここで育まれているのかも。

神話の世界に生きる人たち

                 バスク地方に残る神話の地図

バスク地方には、たくさんの神話が残っており、人びとは子どもの頃から絵本などを通して、それの物語に触れながら成長していきます。その神話は、バスクの地形や自然から派生した様々な自然が象徴されています。

バスク神話の神様マリが住むと言われている、アンボト山
バスク神話の最高神、”マリ”は、バスク神話の女神として崇められています。バスク山脈の標高1,331mのアンボトという山に住んでいると言われ、金髪で地面につくほど長く、黒い目をしている言われています。マリは、薬草を使って人の病を治したりしていたと言われ、魔女とも言われていました。今でもマリを信仰する人たちが、山や洞窟に集まって祈りを捧げる会合が行われているようです。

玄関の魔除け


こちらは、バスク地方の標高の高い土地に生息する”EGUZKILORE”エウスキロレ(チャボアザミ)と呼ばれる花。地面に生えるひまわりのような形をした花で、これを玄関扉につけることで魔除けとして使われています。
今では採取が禁止されているため見かけることは少ないそうですが、その風習の影響か、別の花が玄関先に飾ってあるのをよく見かけます。エウスキロレは咲いていても、枯れていてもとても美しい花で、まるで人生そのものを表しているようにも思えます。

生活水準の高さ

バスク地方は19世紀にビルバオを中心に工業都市として栄えた土地です。スペイン最大の商工業地帯カタルーニャ州と同様、経済的に最も豊かな地域の一つで、南部やガリシア地方から多くの出稼ぎが働く場所でもあります。南部のアンダルシア地方では、農業や観光業を中心に経済が動いていますが、バスク地方では企業で働くサラリーマンが圧倒的に多い印象を受けます。