ちきゅうの暮らしかた ERIKO OFFICIAL WEB SITE

超個人主義なスペイン人

こんにちは、モデル・定住旅行家のERIKOです。

今回、ヨーロッパのスペインにて3ヶ月間定住旅行を行いました。これまでラテンアメリカや海外いる時に私が抱いていたスペイン人のイメージはというと、あまりフレンドリーではない、融通が効かない、個人主義的な少し暗めのイメージでした。
しかし、このスペイン国内の文化や地域性を実感した今、様々な形で彼らと関わることで色んなことが分かった気がします。実際にこの国でスペイン人と生活を共にして感じた、私なりのスペイン人をディスクラブしてみたいと思います。

超がつくほど個人主義

「一人一人が別の惑星に住んでいる」と言われるほど、スペイン人は個人の好みややり方がそれぞれにあり、他人に合わせることなく、お互いがそのやり方を尊重しながら生きています。
例えば、これは実際にあった出来事の一つですが、レストランで食後の飲み物を頼んだ時、このような感じに。

Aさん:カフェコルタード(エスプレッソ)

Bさん:カフェコンレーチェ(カフェオレ)

Cさん:コーヒーにリキュールを入れたもの

Dさん:デスカフェイナード(カフェインレスコーヒー)

日本だと店員さんが嫌な顔をしそうなくらいそれぞれの好みが全面的に出ています。笑 しかし、スペインで働くカマレロ(ウエイター)たちは、接客のプロ。俊敏かつ突然のメニュー変更やお客さんのわがままな要望にも笑顔で答えてくれるのです。
これは、一般的な意見よりも個人の意見を尊重し、「私たち」ではなく「私」が誇張されるスペインの個人主義(individualism)思考が大きく影響している気がします。
自分の意見より、周りの人の意見を重要視し、恥をかくのを嫌う集団主義(collectivism)よりの日本人からすると、真逆の思考です。
ただ、スペイン全域にこの傾向があるかというとそうではなく、特にガリシア地方は個人主義色は非常に少ないです。

個人主義なのに、仲間づくりが命

先ほど個人主義の話をしたばかりなのに、それに反するような表題ですが、スペイン人は友だちや仲間を持つことを生活の中で特に大切にしています。
それが象徴されるのが、様々なジャンルで存在する、ソシオ(仲間)やペーニャ(愛好家の集まり)などの会を作ることです。共通の趣味を持つ人たちが定期的に集まって、飲んだり、食べたり、騒いだりするのです。
以前にも記事で紹介した、クアドリジャやソシエダもその一つでしょう。とにかく、人とのコミュニケーションなしでは生きていけないのがスペイン人です。

快楽と生きた心地を感じる”論争”

スペインでの生活でしばらく慣れないことがありました。それは、人びとが意見をぶつけ合い、論争すること、そしてそれに巻き込まれることです。
スペイン人は、それぞれに自分の世界があり、意見を持っています。違う意見の人に会うと、自分の意見を聞いてもらいたがために、必死で相手に説明をし倒すのですが、相手も別の意見をぶつけてくるので論争状態になります。
例えば米国人もディベートの文化を持っていますが、スペインのそれと違うのは、スペインでは相手を自分の意見に丸め込むのが目的ではなく、ただ意見をぶつけ合うのを楽しんでいるということ。

特に私は外国から来ているので、違いがたくさんあり、彼らにとっては論争の格好の的でもあるわけです。しかし、日本で育った私は極力論争を避ける傾向にあり、なるべく丸く収めようとしてしまいます。3ヶ月後には随分慣れましたが、それを生きがいに感じられるレベルには到底なりません。。。笑

スペイン滞在中、何度か学校を訪問させてもらったのですが、この論争好きはすでに子ども頃から始まっていると感じました。先生が話し終える前に、子どもたちがそれぞれに自分の意見を喋りだし、その火種が他の生徒に移って、また意見の言い合いが始まるというのが何度も繰り返されていました。そのため、授業中静かになる時間はほとんどありません。

「スペイン人が好きなスポーツは、サッカーと論争」と言われるほど。

サッカーに熱を注ぐのも、スポーツ自体が面白い魅力を持っているのに加え、仲間たちと一緒に観戦でき、論争できるという、スペイン人が大好きな要素が集約されているのも理由の一つではないかと思います。

裏表がなく、平等

世界の様々な地域を旅していると、時にアジア人であることで差別を受けたり、見下されていると感じることがあります。特にアメリカやヨーロッパ地域でそれを感じる機会が多いのですが、ここスペインはそれを全く感じません。
スペイン人自体も自分は自分という部分を持っているので、相手に対しても同じような姿勢で接します。人種は関係なく、人間として見てくれるのです。

驚いたのは、家で働くお手伝いさんが、食事時に同じテーブルに座って食事を取ったり、雇い主とプライベートでお茶をしていたりすることです。どんな仕事でも上下関係なく、人として付き合うことのできるスペイン人はすごいと思いました。
また、比較的ストレートに物事を発言してくれるので、あまり裏表がありません。もちろん、人の噂話は女性たちは大好きですが、例えばラテンアメリカ諸国のように、本音と建て前があるということはほんんどありません。(ガリシア地方にはあります)
ある程度の言葉選びは必要ですが、思ったことをそのまま素直に伝えればいいので、その点はとても居心地の良さを感じました。

発展をやめた国

過去に全ての栄光を手にした、きらびやかな歴史を持つスペイン。現在は、出生率も低く若者も年々減少傾向にあります。スペインの若者と話しをしていて感じるのは、”野心や改革心を持つよりも、ドラマチックでなくとも楽しく困らずに生きれればいい”という、保守的な思考傾向を持っている人が圧倒的に多いということです。

普段、途上国に滞在することが多い私にとって、「我々がこの国を変える!」というギラギラした野心に溢れている若者に出会うことが多いのですが、スペインの若者はそれを通り越した感があります。かといって、生きがいを失っている訳ではありません。日々の生活の中で、家族や友達、仲間と密にコミュニケーションを取ることで、彼らは喜びや安らぎ、生きがいを得ているように感じました。