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リーガエスパニョーラ エイバルS.Dに潜入!

  • 12.01.2018
  • スペイン Spain

こんにちは、モデル・定住旅行家のERIKOです。今回バスク地方で定住旅行させてもらうに至ったのは、リーガエスパニョーラの1部リーグで活躍するS.Dエイバルさんとのご縁がきかっけでした。バスク地方の家族である、ナゴレさんの勤務先でもあります。バスク滞在中、何度もクラブを訪問させて頂き、交流を深めさせて頂いたのですが、そのファミリー的な雰囲気と、グローバル的な視野の広さに触れたことで、私にとって愛着の湧くクラブとなりました。

リーガで唯一女性が代表とCEOを務めるクラブ

                                        CEO Patricia Rodriguez

サッカーというと、どの国でも男性が権力を握る世界だというイメージがあります。しかし、S.Dエイバルで重要なポストを占めているのはなんと女性なんです。もちろん、リーガでは唯一の女性会長、しかも、バスク美人!
現在の会長、Amia Gorostiza アマイア・ゴロスティサさん、そしてCEOを務めるのは、Patricia Rodriguez パトリシア・ロドリゲスさんです。やはりバスクの女性は強くて責任感があるイメージがありますが、バスク地方ならではかもしれません。

3部リーグから這い上がったドラマチックな歴史


今でこそ1部のリーガで活躍しているS.Dエイバルですが、1940年にチームが発足してから、2013-14年のシーズンまで、2部以下のリーグでプレーしていました。想像するに、私の地元のガイナーレ鳥取がJリーグで1部に昇進するようなもので、それまでには長く苦戦した時期が続きました。
そのためスタジアムも1部リーグでプレーするクラブとしては大変小さく、メリットとしては試合がかなりの至近距離で観戦できることでしょう。現在、スタジアムを改装中で、近年には8000人が収容できるスタジアムになる予定です。(現在は7083人収容)

敵が密集する地域でのビジネス戦略


バスク地方には、1部リーグでプレーするクラブが、Real Sociedad、Athletic Bilbao、AlavesそしてEibarとなんと4つも存在します。このサッカー激戦区で新たにファンを獲得していくことはなかなか難しいと言えるでしょう。そこでS.Dエイバルが力を入れているのが、グローバル戦略です。積極的に世界中からスポーツジャーナリストを集め、取材ツアーなどを行ない、スペイン国内、ヨーロッパに留まらないファン獲得に力を注いでいます。

 

日本企業の新たなスポンサー「HiKOKI

日本代表の乾選手がエイバルで活躍するようになってから、日本からもファンの方がエイバルに度々訪れるようになったそうで、なんと日本にもエイバルのPeña(ファンが集う場所)が存在しているのだそうです。そんなエイバルに、今年から新たな日本企業のスポンサーが付きました!その会社は「HiKOKI」。

             ヨーロッパで活躍されているHiKOKIで働く日本人の皆様

日立工機から独立した日本の電動工具メーカーです。”ハイコーキ”と発音するのが正しいのですが、現地の人たちは、”ヒコウキ”と呼んでいました。(スペイン語はHを発音しないため)
先日マドリッドのIFEMAで行われた、工具の展示会にお邪魔させて頂きました。


HiKOKIさんでは、様々な工具を扱っているのですが、すごいのがこの「マルチボルトバッテリー」。1つのバッテリーで、18ボルトと36ボルトの両方が使用できるようになっていて、それが世界初なのだそうです!
今後エイバルの試合がある時には、皆さんもエイバルの選手の左肩に付いているHiKOKIさんのロゴに注目してみてくださいね!

バスク地方ならではの食堂

以前紹介した、バスク地方に存在する男子コミュニティ「美食倶楽部」ならぬ、チョコもしくはソシエダ。なんと、エイバルの社内にもあるんです!


こちらで選手のスケジュールやコンディションに合わせて、毎日違ったメニューのバスク料理が準備されています。お昼ご飯の14時頃になると、練習を終えた選手やオフィスで働くスタッフたちがやって来て、食事を摂ります。先週も会長もCEOも和気藹々と食事を摂っているのですが、この「チョコ」という独特な空間が選手たちとの距離を縮め、エイバル独特のファミリー的な雰囲気を醸し出す要素になっているのでないかと思います。

エイバルで活躍する女性日本人選手「後藤三知選手」


S.Dエイバルには、女子チームも存在しており、現在後藤三知選手と米井朋香(よねいほのか)選手の二人の日本人がプレーしています。今回、後藤選手にお話を聞かせてもらう機会をもらいました。

Q、後藤選手にとっては、以前プレーされていたレアル・ソシエダと現在プレーされているエイバル、両チームもバスク地方のクラブです。また、後藤選手にとって初めての海外クラブでプレーする経験だと思いますが、こちらでの生活はいかがでしょうか?

A、私にとってスペインというと、バスク地方しかほとんど知らないので、他の地域と比べることはできませんが、エイバル自体もとても小さい街なので、サポーターやファンの人たちとの距離を非常に近く感じられます。また、遠征試合の時は寝るときもずっと同じチームの選手と一緒なのですが、スペイン人は本当によく喋ります。バスの移動中も、寝る寸前までもずっと喋っていますね。笑 「なぜ、そんなに喋るのか?」と聞いたことがあるのですが、「会話は無料だから」と言ってました。また、スペイン人は自分の失敗を堂々と発言します。何でも素直に隠さず打ち明けることで、なんとなくですが、相手も自分も縛らない環境を作っているのではないかと感じます。

Q、海外で仕事をするというのは、後藤選手にとってどんな意味を持ちますか?

A、私個人的に、若い頃にアメリカ遠征に出かけた経験から、いつか海外でプレーしたいとずっと思っていました。ただ実際行動に移そうとした時に、なかなか動けない自分がいたんです。その時に”不安”についてよく考えてみたんです。その結果、不安には”考えてもどうにもならない恐れ”と、”準備につながる恐れ”があると気づいたんです。
それまでは、怪我をしないように、ミスのないようにトレーニングをして来ました。いわゆる、力んでトレーニングしていたんです。でも、それはある意味で自分の能力に疑いを持っていることだということにも気づいたんです。それから、自分の身体の本来持っている能力を信じて、委ねるトレーニングをするようになり、随分変わったと思います。
海外で仕事をすることもそれと似ていて、不安もあるけれど、自分をその環境の中に委ねてみるチャレンジをすることであると思っています。また、日本でサッカー選手としてのキャリアを積み重ねるよりも、一人の人間として、違った経験をしてみたかったという気持ちもありました。

11月24日のレアル・マドリッドの試合で点を決めた、FWのSeigi Enrich選手(背番号9)。昔、大久保選手とマジョルカでプレーされていました。

つい最近行われたホームでのレアルマドリッドとの試合では、歴史に残る3−0でレアルマドリッドを下しました。現在、リーガで10位のS.Dエイバル。これからも、男子・女子チームの活躍に目が離せません!