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女性優位、住所がない!暮らしてわかるパラオのこと

こんにちは、モデル・定住旅行家のERIKOです。日本から南に3,000kmのパラオにて定住旅行をしています。過去に様々な国の植民地や統治領となった国のパラオは、言葉や文化にその影響が反映されていますが、パラオの文化も生活の中に息づいています。暮らして見えてきた、パラオの変わった制度や習慣、文化を紹介したいと思います。

パラオには住所がない!

パラオには通りの名前もなければ、住所もありません。場所を説明するときには、お店や看板の名前、〇〇さんの家の右隣というように表現しています。
「どこに滞在しているの?」と聞かれて説明に非常に困りました。
では、パラオ人が郵便物を受け取るときはどうしているのでしょうか。

こちらはコロール市の中心にある郵便局です。
ここには、番号が貼られた小さな郵便BOXがたくさんあり、島民はそれぞれに自分のBOXを持っています。ここへ定期的にやってきて郵便物を確認したり、受け取ったりするのです。

人生行事は月の満ち欠けに委ねる


パラオの国旗についている黄色の丸は、太陽ではなく月だと言われています。パラオ人は伝統的に様々な行事や儀式を、月の満ち欠けを見ながら行っていました。
例えば、新しい家に引っ越しをする日は新月であったり、新しい事業や事柄を始める時は、新月もしくは満月の日にするするなど、日本の大安や仏滅のなどの暦に近い感覚で月の満ち欠けを人生行事に照らし合わせていくのです。
パラオでは毎晩月や星が本当にくっきりとよく見えるので、昔から人びとが自然にそれらを意識するのも理解できる気がします。

「お母さんに似ている」と言ってはならない

ミクロネシアにある島々のヤップ島とキリバス以外は、すべて母系社会で、パラオも伝統的に母系制度という社会システムを持っています。母系社会はでは、個人の集団帰属が女性先祖から祖母、母、娘をたどって決められ、地位を表すタイトルを持ち、土地や財産を共有するというものです。ただ、パラオやポーンペイは結婚後、妻の家庭に夫が入居する妻方居住ではなく、妻が夫の家族に入居する夫方居住型というのが特徴です。
パラオの村は理念的には10の氏族からなっており、クロバック(チーフ会議)と呼ばれる各氏族タイトルの保持者たちの集まりが未だに伝統的な政治を司っています。チーフは男性がつとめますが、各氏族のタイトル保持者を選ぶのは年長女性なのです。

パラオでは絶対に人に対して発言してはならない表現があります。それが、「あなたはお母さんに似ている」という言葉です。この表現は、家の長である母親をバカにする表現に値し、この言葉を言ってしまったら、殺されても仕方がないと思われているほどひどい表現なのだそうです。
なぜ、母親に似ていると言ってはならないのでしょうか。パラオでは家族の中の女性、特に母親というのは絶対的な存在です。母親の足元にも及ばない未熟な娘や息子が偉大な母に似ているというのは、母親をバカにしているように聞こえてしまうからでしょう。

家も船も買える!?ウドウドの石

こちらのお母さんがネックレスとしてつけているのは、パラオの”マネービーズ”、”ウドウド”と呼ばれる石です。オレンジや黄色などカラフルですが、塗装しているわけではなく石自体がこんな色をしています。
これは上流階級に属する女性が身につける物です。(パラオでは一部この習慣がない村もあります)

昔はこれで船や家などが買えたそうですが、今はお金のような価値はなく、家族代々引き継がれる価値ある物です。
またこれ以外に、亀の甲羅も非常に価値あるものとされています。犯罪などを犯した際の罰金として、お金と合わせて亀の甲羅を渡すということが現在でも未だに行われていますほど価値のあるものなのです。

体を黄色に染めるパラオのベイビーシャワー

パラオ滞在中、運よくパラオの伝統的なベイビーシャワーを見ることができました。
通常ベイビーシャワーというと、赤ちゃんが生まれる前に行うものですが、パラオでは第一子が誕生した2ヶ月後に行われ、パラオ語では”ngasechガアス”と呼ばれます。

このガアスの儀式が始まる4日~10日前より、「オムスウル」と呼ばれ、何種類ものスチームされたハーブでマッサージするをするプロセスがあります。これは産後の体を回復させる目的と、女性の体を浄化してくれる作用があるといいます。このスチームバス(オメガット)を終える最終日に行うのが、このベイビーシャワーです。

家族や親戚、知人が集まり、有名な歌手などを呼んで、食事や飲み物を振る舞い一緒にお祝いをします。パラオではお祝いなどに家族で参加する場合は、同じ柄のTシャツを着る習慣があるそうで、すぐに誰がどのファミリーに属しているかわかります。

この儀式は基本的に参加できるのは女性のみ。子どもを産んだ女性の旦那以外は出席できませんので、近くの家で集まって遠くから眺めるのみです。

女性は腰蓑を付け、体にはウコン、生姜、ココナッツオイルを混ぜたものを塗ります。写真を撮っている時に、私にもこのオイルが服に着いてしまったのですが、まぁそのあと何をやっても取れませんでした。。。
ちなみにココナッツオイルはパラオ人が常用しているオイルの一つで、海などで寒く感じた時に塗ると、体が冷えを防いでくれる役目もあります。

主役の女性は葉っぱを編んだゴザの上を歩き、地面と体が接触しないようにします。

そして、ひな壇のような場所にこのようなポーズで立ち、周りでは皆んなが激しく祝います。一曲が終わる度に、それぞれから1ドルが次々とカゴに入れられていきます。
この儀式の目的は、この女性が家族や親戚、周りの人からどれだけ大切にされているかを旦那さんに見せるという目的もあるのだそうです。

            パナマ・サンブラス諸島 クナ族の初潮を迎えた女の子

他の国とは全く異なるベイビーシャワーの儀式。これを見て思い出したのが、以前パナマのクナ族の家に滞在した時、初潮を迎えた女の子でした。その子も初潮が始まってからは、大きな葉っぱで作られた部屋に隔離され、毎日大人たちが海の水を使って浄化を行っていました。移動する際も上記のような葉っぱを引かれて、地面と接触しないようにしていたのです。生理や出産後に身体を浄化させるというという観念は、プリミティブな生活を送る人たちに自然的な考えとしてあるのかもしれません。