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KYな人は生きていけない!遠慮と社交辞令が当たり前のイラン

こんにちは、モデル・定住旅行家のERIKOです。

イランでの滞在をはじめて、徐々にイラン人の気質や特徴がわかりはじめていますが、私がイラン人を表現するとしたら、「とにかく、空気読みすぎ!」といったところでしょうか。
世界には国の文化や習慣によって、直接言わなくてもなんとなく察してコミュニケーションを取る、”ハイコンテクスト文化”と、明示的で直接的なコミュニケーションを取る”ローコンテクスト文化”が存在しますが、イランは日本以上にハイコンテクスト文化のような気がします。
その例に、イランには”タローフ”と呼ばれる遠慮や社交辞令と言った言葉に訳せる習慣があるのですが、それが日常的に様々な場面で繰り広げられているのです。
私が現地で遭遇した”タローフベスト5選”を皆さまにご紹介したいと思います。

その1 地下鉄の場所を案内してくれるだけのはずが、電子マネーまでくれた男性

テヘランの家族のお父さんが働く会社を訪問させてもらったことがありました。帰りの地下鉄までの道が分からなかったので、彼の従業員の若い男性が送ってくれることになった時の出来事です。
その道すがら、私がカラフルなザクロショップに目を奪われていると、「ザクロは好きですか?」と聞いて来ます。「はい」と答えると、すぐさま、ザクロとザクロジャムをお店で購入し、「お土産にどうぞ」と差し出してくれました。
彼の親切はそれだけでは終わりません。地下鉄に到着してお礼と別れを告げようとすると、「チケットは持っています?」と聞いて来ます。「これから買いますので、大丈夫です」と言うと、「これは便利ですから使ってください」と、彼は持っていたPASMOのような電子チケットを差し出します。

その後、数分間下記のやりとりを繰り返した挙句、

ERIKO「これは結構です、ありがとうございます」

彼「問題ないので、是非使ってください」

結局彼はカードを置いて、「どうぞ!」と言い、胸に手を当ておじきをして去って行きました。

その2 混み合うガソリンスタンドでも譲り合い

ガソリンスタンドへ行った時のこと。車社会のテヘランでは、ガソリンスタンドは大抵混んでいる場合が多いのですが、その日は特に混み合っていました。ちなみに、さすが石油大国イラン、1ℓ=約30円ほどしかかかりません。ガソリンを入れ終えて、いざ出口に向かうと、同じく出ようとしていた車がストップ。
こちらに向かって、「先にどうぞ!」とジャスチャーしています。運転していた私の滞在先の家族も負けじと、「いやいや、お先にどうぞ!」後ろは他にも出たい車が待っておりますが、お構いなく何度か譲り合いが交わされたところで、こちらが負けて先に出発!お礼にクラクションを鳴らしていました。

その3 目の前以外の人にも気を配る


お正月、大勢の親戚がリビングに集まりワイワイと歓談していた時のこと。ソファもいっぱいだったので、私はその横にあるテーブル席に座っていました。たまたま私の前には、親戚のおばちゃんが座っていたのですが、特に気にすることなく、家族の話に耳を傾けていました。その時、おばちゃんが私の方を振り向いて、突然ペルシャ語で話しかけて来ます。「なんだろう??」何を言っているのが意味が分からなかったので、隣にいた英語が話せる孫のテルメちゃんに、「おばちゃんはなんと言ったの?」と聞きました。

すると、「背中を向けていてごめんなさい。でも、私が背中を向けていても、あなたはバラのように美しいわ」 え~!そんなことを言っていたなんて。。。おばあちゃん、気遣いを通り越して、もう詩人です。

その4 路店で一口いかが?は当たり前


テヘランには、バザール(市場)周辺にジュース屋やアイスクリーム屋などの路店が密集しているのですが、私はイランの定番ドリンクキャロットジュースやサフランのアイスクリームが大好きで、よくお店に立ち寄っては購入していました。その時に、必ずと言ってほど起こる出来事があります。私の前に並んで注文している人が先に品物を受け取るのはどの国でも当たり前ですよね?


薔薇水がかかった、サフランの贅沢アイスクリーム

しかし、ここでは前の人が自分より先に品物を受け取る時、「先にどうぞ」と声をかけられます。もちろん、「いやいや、もう自分ものもうすぐ来るので、大丈夫です」と言うと、「すみません、一口先にどうですか?」とオファーして来ます。初めは、変な人なのでは?と疑っていたのですが、毎回それがあるので、これも”タローフ”だと気づきました。

その5 タクシー代さえ無料に

イラク国境近く、自然が豊かなホラマバードという町に滞在した時のこと。12時間の移動でクタクタで下車した私に、容赦なくタクシー運転手たちが声をかけてきます。荷物も重かったし、タクシーは安心だと現地の家族から聞いていたので、私の荷物をたまたま持ってくれたタクシー運ちゃんの車に乗り込みました。バスターミナルから家まで約15分。私のカタコトのペルシャ語で会話をしながら、家に到着。家の前まで丁寧に荷物を運び終えた運ちゃんは、「素敵な滞在を!」と言って、車に乗り込もうとします。
「ちょっと待って!お金まだ払ってないよ」と言うと、「あなたはゲストだから、要りません」と丁寧に断られました。これはタローフだと思った私は、無理やりお札を車のシートの上に置き去ろうとしましたが、それも丁寧に返されてしまいます。
この時代にタクシー代が無料なんてありえません、、、結局ホラマバードに滞在中、何度かタクシーに乗りましたが、どの運ちゃんも料金を受け取ってくれることはありませんでした。

他にもたくさんのエピソードがありますが、この辺までにしておきましょう。どうぞ、イランへ行かれる予定のある方は、はっきり物を言ってKYだと思われないようにご注意ください。(出発前の私へのメッセージ)