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イラン人中学生テルメちゃんの生活

こんにちは、モデル・定住旅行家のERIKOです。

イランのお正月を一緒に過ごした家族、ショジャエ家のお孫さんである、テルメちゃん。テヘランでは、インターナショナルスクールに通っており、英語とフランス語が流暢な弱冠14歳の彼女。来年から高校生となる彼女に、生活のことや将来のことを聞いてみました。

普段の生活のリズムを教えてください

”朝は毎朝6時に起きて、6時半に家を出ます。私は支度が早いのです。笑 学校は7時15分に始まり、2時半に終わります。朝は、お父さんに送ってもらっていて、帰りは学校のプライベートカーで帰宅します。お昼は学校で、お母さんが作ったお弁当を持って行き、食べています。水曜の放課後と週末の金曜は、バスケットボールチームに所属していて、その練習があります。それ以外の日は、家に帰ったら、従兄弟と一緒に宿題をしたり、大好きなジャスティン・ビーバーの動画を見ています。”

なぜ、英語とフランス語が流暢に話せるんですか?

”私が通っていた幼稚園の先生がフランス語が話せて、それがとてもカッコよくて、「私も話したい!」と思うようになり、先生に教えてもらいました。英語は、今通っている学校がインターナショナルスクールなので、英語を話すのは必修なんです。
またイランでは、コーランを理解するためにアラビア語を習うことも義務付けられていて、それがとっても難しいんです。
ペルシャ語(国語)の授業も難しく、英語が一番授業の中では楽チンです。”

自分の将来について考えたりしますか?

”はい、もちろんです。私は来年、高校生になったらベルギーの学校へ進学しようと考えています。ベルギーにはおばさんが住んでいて、私はヨーロッパへのビザを持っているので、それが出来る可能性があります。イランで高校に進学することも考えたのですが、イランの高校の勉強量は本当に多くて、自分の自由な時間はほとんどなくなってしまうほど、勉強漬けの日々になります。高校生の年齢は、勉強以外にもいろんなことを体験したりすることが大切だと思うので、その時間を無駄にしたくないと思います。ベルギーはフランス語が通じるので、学校の授業も問題ないと思います”


イランでは家族が一番大事な存在ですが、家族と離れ離れになって寂しくないでしょうか?

”もちろん、寂しくなるとは思いますが、私の友達の多くも海外で勉強する子はたくさんいて、同じ境遇の子がいます。イランでは、家族が離れて海外で暮らしているケースは多いので、特に心配はしていません。”

将来の夢はありますか?

”私は昔から、警察官になりたいと思っていました。今でもその気持ちはありますが、イランでは、女性警察官は必ずチャドルを着用しなければなりません。隣国のドバイやトルコは、着用の選択ができますが、イランにはそれがありません。現在の政府の体制が変わらなければ、イランで警察官になることはないと思います。”

イスラム教であることで、日常生活で気を付けていることはありますか?

”イランでは髪を隠すためのヘジャブと、膝丈くらいあるマントの着用が義務付けられているので、それらは着用しています。私は髪の毛がボリューミーなので、たまにヘジャブが少しずれてしまうことがあるのですが、街を歩いている時だと、男性に注意されたりすることがあります。大変なのは夏場で、テヘランは夏には30度以上にもなるのですが、それでも、外出する時は、長袖でヘジャブを被らなければなりません。そんな時は、家のプールが最高です!

私のお父さんは毎日お祈りをしていますが、私はしません。父も私に対して強要することもありません。私は、宗教の決まりごとを行うより、道徳的に良い人間でいることがことが一番大切だと思っています。ただ、親戚に宗教熱心な人がいる時は、自分の意見を言わないようにしますし、彼らのルールに則って、行動し、リスペクトの心を忘れません。”

空気を読むイランの子どもたち

イランでは、子どもがいる家庭に滞在する機会がいくつかありました。そこで感じたのは、子どもたちがすでに身につけている”空気を読む力”です。もともとイラン人は、”タローフ”と呼ばれる遠慮や社交辞令を言う習慣があり、彼らの会話の多くの時間は、お互いの気遣い合いにほとんど使われているのではないかと思うこともしばしばあります。

テルメちゃんの従兄弟に6歳の男の子がいました。とても可愛らしくて無邪気な子なのですが、私がお菓子などをあげようとすると、決まって「ありがとう、結構です」と言って、一度断るんです!こんな若いのに、もうタローフ(遠慮)を学んでいる!と驚きました。

長く滞在していくにつれ、この空気読む力は、家族や親戚づきあいで特に育まれた能力なのではと思うようになりました。

イランの社会では、家族によって、信仰心が薄い家庭、熱心な家庭とそれぞれあります。そして大前提として、信仰心がある人に敬意を払い、行動を合わせるという暗黙の了解があります。
例えば、父方の家族が信仰心が強く、母方は信仰心が薄い場合、子どもは父方の家族の前では、服装や言葉遣い、発言などを、彼らの基準に合わせるのです。
「そういえば、(母方の)おばあちゃんがこんな(反宗教的な)こと言ってたよ~」なんてことは、口が裂けても言いませんし、親は厳しくしつけます。
また、宗教熱心な家族とそうでない家族が一緒に食事をする時は、事前に双方に連絡を取りあい、ヘジャブの着用など(イスラム教では旦那さんや家族以外人に髪の毛を見せるのは禁止されているため)の了解を得て行われます。ですので、突然気軽に食事をするということはありません。
このような社会で、子どもたちは幼い頃から、TPOに合わせた行動と発言を学んでいくのです。会話をしていると、私の気持ちを考えながら話しているなぁと感じることが多かったです。テルメちゃんもその一人でした。