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国に表彰されたカルムイクの大家族のお家にホームステイ!

  • 07.14.2019
  • カルムイク共和国 Kalmykia
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こんにちは、モデル・定住旅行家のERIKOです。カルムイク共和国にて定住旅行しています。
ロシア連邦内には22の共和国が存在していますが、カルムイクの特徴は、なんと言ってもヨーロッパ唯一の仏教国であるということでしょう。この国に暮らす半分の人たちがモンゴル系のカルムイク人で、彼らのほとんどがチベット仏教を信仰しています。

カルムイクへ行く前、現地の人のロシア語が理解できるかどうか少し心配でした。来てみたら、何の問題もなくスタンダードのロシア語が話されていたのですが、ロシアのすごいところの一つは、どの地域へ行っても方言がないことでしょう。
多少のアクセントや発音の違いはあっても、一貫してスタンダードのロシア語がどこでも話されています。日本やイタリア、スペインなどの面積が狭い国でさえ、県や州によって言葉に大きな違いがあるのに、こんな広大な領土を持ちながらもすごいことです。ロシア語学習者にとっては本当にありがたく感じます。

家族の紹介

カルムイク共和国で定住させてもらっている家族をご紹介します!
カルムイク人の中にもДорвуд(ドゥルビュッドゥ)、Торгут(トルグッド)、Бузав(ブザーブ)など多くの部族が存在しています。ムチカエヴァ家はДорвуд(ドゥルビュッドゥ)に属しています。それぞれの部族が踊りや歌を持っていて、結婚する時などは同じ部族が好まれるそうです。

エドゥアルド・ムチカエヴァさん 40代
ガスの修理士として働いています。仕事が忙しい時は何日も家に帰れないことも。子どもの頃は学校へ行くまでカルムイク語しか話せなかったのだそうです。カルムイクの男性は子育てや家事にとても積極的で、夫婦でほぼ半々に分担して行っています。街でベビカーを引く男性もよく見かけます。

ナタリア・ムチカエヴァ 40歳
エドゥアルドさんとは2度目の結婚で、顔見知り程度だったそうですが、ある日エドゥアルドさんにウクラスト(誘拐婚)されて結婚に至ったそうです。5人の子どもがいるのに、いつも恋人みたいに仲良しです。彼女はエリスタ市の政治家を務める傍、多産家協会などを立ち上げて、家族のいない子供たちや貧しい人たちの支援を個人的に行っています。

長男:アイタ 16才
カルムイク語で「良い」という意味のアイタ。お父さんのエドゥアルドさんがいない時は、ほぼ兄弟の父親代わりとして面倒をみたり、家事をしています。彼女がいて、早くも結婚したいのだそうですが、親からはまだまだ勉強しなさいと言われています。写真は、家族に巻き寿司を伝授した時のもの。5分も経たぬうちになくなりました。

次男:サーシャ 11才
ジャンクフードが大好きなサーシャは、ご飯をあまり食べず、チップスやお菓子をよく食べては怒られています。ひょうきんでいつも人を笑わせてくれます。

三男:アラン 10才
兄弟の中で一番しっかりしていて、面倒見がいいアラン。皿洗いや家のお掃除はもちろん、飼っている鶏の世話も担当しています。家に誰もいない時は、食事の準備をしてくれたり、私が外へランニングへ出る時は心配なのか、家の周りをクルクルし、帰ってくるまで待っている、心優しい子です。ちなみに彼は出生時に5kgもあったそうです!

長女:ヴィタリーナ 7才
兄弟で唯一の女子!まさに一家の嬢王様で、わがままをよく言い、人を小間使いするのが得意です。笑 コスメに興味津々のおませさん。ダンスを習っていて、発表会などにも出ています。男たちからもっと働け!といつも激を飛ばされています。

四男:バドニャ 1才4ヶ月
カルムイクの男子は体が大きく、強いのですが、バドニャもすでにその頭角を現しています。転んで多少流血しても泣いたりせず、さっと立ち上がり何事もなかったかのように。
オムツもすでに取れていて、トイレはおまるできちんとしています。
バーニャのお尻にはモンゴロイドの証である、立派な蒙古斑があります。

ロシアのいい家族に選ばれたムチカエヴァ家

ロシアには毎年、”良い家族”に送られる賞があります。全ロシアから300の家族候補が選ばれ、その中からさらに86の優秀な家族が選ばれます。ムチカエヴァ家は2018年86の素晴らしい家族に選ばれ、家族全員がモスクワに招待され、表彰を受けたそうです。
政府がなぜこのような企画をしているのか分かりませんが、人口増加が目的のような気もします。

カルムイクでは子どもが平均3

モスクワからカルムイクへ向かう飛行機からすでに「子どものイベントでもあったのか?」と思うほどたくさんの子どもが乗っていました。街でもどこへ行っても子どもだらけ。中南米も子どもは多い方だと思っていましたが、ここまで出生率が多いとは驚きです。ムチカエヴァ家は5人の子どもがいますが、決して多い方ではないそうです。

ナタリアさん曰く、「夫婦は合わせて2人だから、3人以上産まないと家族や国のためにならない」とのこと。
4~5年前からプーチン大統領の政策で、2人目の子どもからは援助金が出るようになったそうです。(一人につき50万ルーブル)それも一つの理由となっているかもしれません。
個人的に私が感じるのは、彼らは一度国が滅びてしまった経験をしているので、0から国を作るのは人力だということを強く感じ、子孫を残すことが国を存続させることだという意識が根付いているのだと思います。

平均の女性結婚は2025

「何歳ですか?家族は何人ですか?」この質問は「初めまして」と挨拶した後に男性からも女性からも必ずと言って良いほどカルムイク人から聞かれる質問です。
カルムイクの女性たちは結婚を早い時期から望む傾向があり、25歳をすぎて家族がいない女性は、人格に問題がある人とみなす人がほとんどです。それは彼らが家族形成し、営むことが人生そのものと考えているからです。
また結婚する際に大切なことは、両家の祖父母の存在です。祖父母の評判があまり良くないと結婚を拒まれる可能性が高いのだそうで、結婚する際は相手の家族を見定める大切なバロメーターとなります。
カルムイク人が人を見る時、どんな仕事をしているか、キャリアを持っているかより、家族形成をしているかというのが彼らにとっての人間の価値を決める大きな指標です。

近所づきあい 助け合うのはお互い様

ムチカエヴァ家は中心部から少し離れた場所に住んでいて、このエリアは大きな一軒家が建ち並んでいます。近所の家々の距離も10m以上離れていますが、近所づきあいは活発です。近所の子どもたちが毎日のようにお互いの家を行ったり来たりし、家の修理や料理の手伝いなど、助けが必要な時は気兼ねなく呼び合って、助け合います。

ロマンチックな?誘拐結婚

皆さんは「誘拐婚」という習慣を聞いたことがあるでしょうか?キリギスタンなどが有名ですが、ある日突然女性を誘拐し、結婚するという習慣です。実はこの習慣はカルムイクにも存在しているのだそうです。
ある日、家族が用事を済ませるために「車の中で待っていて」と言われたのですが、あまりの暑さに(エアコンなし)外に出て日陰で涼んでいたのですが、戻ってきた家族は焦った表情で、
「どこにいたの?探したじゃない!一人でウロウロしてはダメよ。украcт(誘拐婚)があるから」
と言うのです。半分冗談だと思いますが、女性が一人で旅をする場合は気をつけたほうがよさそうです。

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