国よって出産の仕方や出産することについての価値観は随分と異なるものです。中米ホンジュラスで、助産師として働いている、JICA隊員の渡辺まどかさんの仕事場”妊婦の家”を訪問させてもらい、ホンジュラス人の出産についてお伺いしました。

ホンジュラスの助産院事情

現在私が勤務しているのは、マルカラという田舎ですが、ここではテグシガルパなどの都会に比べて、助産院の設備などが整っていない部分も多いです。入院できる場所もありますが、シャワーのお湯が出なかったり、日本と比べる不便なことも多いです。また、交通機関のない遠くの町から何日もかけてここまで来る妊婦さんも大勢います。

日本とホンジュラスの出産観の違い

日本人とホンジュラス人ではまず、体格が違います。ホンジュラス人は大体140cm前後と背が低い人が多いのですが、それでも産める骨盤をしていて、貧血などはとても少ないです。また出産年齢も、15歳くらいから産み始めるのでとても早いといえます。

また出産することに対して、日本人は色々調べて勉強したりして、知識を持って産みますが、ホンジュラス人は自分の親の体験から話を聞いて学び出産します。どちらが良いかということでなく、ここはここで良いと思います。

また、ここで働くようになって一番感じた違いは、日本人は子供や母体に何かあった時、医療者の責任にする傾向がありますが、ホンジュラスではどういう結果になっても誰を責めるということもなく、”そういう運命だった”と受け入れます。宗教的な問題もあると思いますが、それは不妊に関しても同じで、基本的に不妊治療しません。もちろん金銭的、技術的な問題もありますが、自分自身をどうかするのではなく、それはそういう運命だと受け止めます。どうしても子供が欲しい場合は、養子をとったりします。しかし、いかなる場合においてもお気の毒感というのは全くありません。

渡辺さんが隊員としてホンジュラスで働く理由

助産婦として、そして海外で援助を行うきっかけは2つありました。

私の祖母が亡くなる前に、家族が祖母が好きだったゼリーを食べさせてあげたいと医療者に言ったら、「何も感じないから、どちらでも同じですよ」と言われたんです。その時に、私は感情の分かる医療者になりたいと思うようになりました。

もう一つが、小学生の時に学級委員をやっていたのですが、その時にいらなくなった服などをアフリカへ寄付するというのがありました。私は体操着を寄付したのですが、ある時テレビを見ていたら、私の体操着を来た笑顔のアフリカ人の男の子が映っていたんです。それを見て、支援をする喜びと意味を感じて、興味を持つようになりました。

美しい、渡辺さん

渡辺さんは、ホンジュラス人のように心を開いて話してくれました。そのまっすぐな気持ちに、私のメモ用紙は涙で滲んでしまいました。
患者さんや同僚は、彼女の前を通る度に立ち止まり、彼女と話しを楽しみ、スキンシップの喜びを体現していました。

”ホンジュラス人の好きなところは、”でも、だって”という否定語を使わないことです。どうしようもないことがあるということをよく知っているからだと思いますが、私はとても好きです”

渡辺さんがお話してくれた中で一番心に響いた言葉です。

遠い中米のホンジュラスの地で、きっと今日も逞しく日々を過ごしていることと思います。